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供給遅れるワクチン…自治体より困惑の声も

2021年7月14日 20:46
供給遅れるワクチン…自治体より困惑の声も

東京オリンピックの開会式まで9日となる中、都内で、新たに1149人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。1100人を超えるのは、5月8日以来となります。感染拡大を防ぐ切り札と言われるワクチンですが、供給が遅れている自治体からは、困惑の声があがっています。

   ◇◇◇

14日、厚生労働省の専門家会議が行われました。午後5時半すぎ、専門家からは─。

厚労省アドバイザリーボード・脇田隆字座長
「現在の感染状況ですが、全国的に見れば増加が続いている。さらに、デルタ株の置き換わりも首都圏で進んでいますので、感染拡大の速度がさらに加速する可能性もある」

全国的に広がる感染の再拡大に強い危機感が示されました。

厚労省アドバイザリーボード・脇田隆字座長
「今後、4連休、夏休み、お盆、オリンピックもある。普段会わない人に会う機会は、感染拡大のリスクが高くなる。そういったリスクをなるべく避けることが重要。首都圏からの人の移動は地方への感染につながるので、帰省や旅行で県境を越えるときは、慎重を期していただく」

こうした中、コロナ患者の対応にあたる都内の病院では、現在、入院患者の数は落ち着いているといいますが、気がかりなことが─。

東京医科歯科大学・大川淳理事
「今までは、一般診療とコロナで2つ同時に診るところだったが、そこにオリパラが加わる。いずれもどれが重くて、どれが軽いとかはない。いずれも診ていかないといけない」

オリンピックの開幕が迫り、病院への負担が増え、スタッフや医療資源のコントロールがより重要になってくるということです。

    ◇

14日午後3時すぎ、インドネシアから帰国を希望する一部の日本人を乗せた、特別便が到着しました。

インドネシアでは、インドで確認された感染力の強いデルタ株が広がり、13日の新規感染者は4万7899人で過去最多となるなど、感染拡大に歯止めがかからない状況になっています。

これまでに日本人14人が亡くなっています。そのため現地に住む一部の日本人は帰国を希望しており、14日の便には、幼児を含む52人が搭乗しました。全日空によると、今後も政府からの要請を受け希望者が帰国できるよう、追加の特別便を調整しているということです。

一方で、東京オリンピック開会式まで、あと9日に迫りました。14日も海外選手団が続々と来日する中、13日夜、成田空港に到着したラグビーの南アフリカ代表が、事前合宿地の鹿児島に向かえず、足止めとなる事態になりました。

空港検疫で21人全員の陰性が確認されましたが、同じ機内の乗客に陽性者がいたことが判明し、座席の位置から選手14人とスタッフ4人の合わせて18人が濃厚接触の疑いがあるとされました。

そのため一時、首都圏にある滞在施設へ移動、14日の鹿児島入りは見送られることになりました。

そして14日午後、IOC(=国際オリンピック委員会)のバッハ会長は、菅総理大臣と会談のため、官邸に訪れました。

菅総理
「政府としても万全な感染対策を講じて、安全安心の大会にしたいと思います」

これに対しバッハ会長は「我々は日本に新型コロナのリスクを持ち込むことは絶対にない」と明言しました。東京大会の成功に向け、協力を確認しました。

都内にあるホテルは─。

住庄ほてる・角田隆社長
「このフロアは大会関係者向けにワンフロアをまるまる貸しきりで考えています」

大会組織委員会からの打診を受け、別館1棟を含む28部屋を用意していました。ところが─。

住庄ほてる・角田隆社長
「昨日火曜日の日に宿泊に関してのご連絡がありまして、16~22日の間はお部屋使いませんと。最短でも23日からの利用になりますと」

すでに宿泊代の支払いはほぼ大半がすんでいるといいますが─。

住庄ほてる・角田隆社長
「やはり一生に一度あるかないかの貴重な経験ですから。大会に関われるのは、モチベーションの一つでもありましたから。非常に残念ですし複雑ですよね」

    ◇

そして、ワクチンに関してもある問題が出ていました。東京・豊島区にあるクリニックは─。

池袋大谷クリニック・大谷義夫院長
「7月から豊島区のワクチン供給がだいぶ減ってしまいましたので、当クリニックは6月30日から新規予約を中止しております」

ワクチン供給の遅れにより新規予約を中止し、さらに1回目の接種を予約していた150人分の予約をキャンセルしたといいます。

池袋大谷クリニック・大谷義夫院長
「確実に2回目接種できるような方法をとらせていただきました」

ワクチンが遅れていることについて、豊島区の担当者は─。

豊島区・新型コロナウイルスワクチン接種担当部 直江太部長
「6月の後半には42箱来ていたんですけど、それが7月の前半には20箱、7月後半には19箱とそれまでの半分に」

国から分配されるワクチンの量が7月に入り、大幅に減少したことが原因だと話します。さらに別の影響も─。

豊島区・新型コロナウイルスワクチン接種担当部 直江太部長
「区内の方だけではなく、区外に住んでいる方についても接種しています。そういった分がVRS(ワクチン接種記録システム)での計算上は反映されてないということで」

豊島区は、かかりつけ医による個別接種を進めてきました。市区町村ごとの接種状況を把握するためのシステム、VRSでは区外の人が接種した場合、豊島区の実績としてカウントされません。そのためワクチンを使っているのに在庫が余っているように見えてしまうなどして、望んだ分配量に遠く及ばなかったのではないかといいます。

豊島区ではワクチンの接種希望者に対し当初、11月の半ばぐらいに終わると想定していましたが─。

豊島区・新型コロナウイルスワクチン接種担当部 直江太部長
「まあ年内は難しいのかなと。必要なところに必要なワクチンが届くようにしていただきたい」

ワクチンを望む声は、他の自治体からも出ています。要望書を提出する動きも見られました。ワクチンの供給が遅れていることについて河野担当大臣は─。

立憲民主党・今井雅人議員
「市町村は国の方針に基づき、ワクチン接種に全力を挙げてきたのに、はしごを外されて混乱していると」

河野ワクチン担当相
「もう少し具体的な供給計画を早手回しに(自治体に)お示しをする必要があった。それができなかったことは、誠に申し訳ないと思っております」

自治体の「接種のペースを最適化する必要がある」とする一方で、供給スケジュールを早めに示すべきだったと強調しました。

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