ゴーン被告“逃亡させた”親子に実刑判決
日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告を国外逃亡させた罪に問われている親子に、実刑判決が言い渡されました。東京地裁は、「ゴーン被告の公判の実施の見込みが全く立たない状態になっており、刑事司法の侵害の程度が極めて大きい」と指摘しています。
マイケル・テイラー被告(60)と息子のピーター被告(28)。19日午後、東京地裁で2人に対し、判決が言い渡されました。
この2人は2019年の年末、保釈中だった日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告を大型の箱の中に隠し、プライベートジェットで国外逃亡させた罪に問われています。
世界中を驚かせた「逃亡劇」の鍵を握るとされる親子。6月に行われた初公判では、起訴内容を認めていました。
これまでの裁判でマイケル被告は…
マイケル被告
「(ゴーン被告から)保釈中に姿をくらますことは罪にならないと聞いた」
また、息子のピーター被告は「ゴーン被告と一緒に仕事をして、自分のビジネスを成長させたかった。だから、彼を助けるという無責任な決断をしてしまった」などと述べました。
弁護側は執行猶予付きの判決を求めていましたが、検察側は「刑事司法の制度や運用を著しく侵害した」などとして、マイケル被告に懲役2年10か月、ピーター被告に懲役2年6か月を求刑していたのです。
そして、19日に言い渡された判決。
裁判長
「マイケル被告を懲役2年、ピーター被告を懲役1年8か月に処する」
通訳の方を見ながら判決内容を真剣に聞いていた2人。
東京地裁は「重大事件のゴーン被告を海外にまで逃亡させた」とした上で、「1年半を経過した現時点においても、ゴーン被告の公判の実施の見込みが全く立たない状態になっており、刑事司法の侵害の程度が極めて大きい」と指摘。2人に実刑判決を言い渡しました。
こうした中、特捜部はゴーン被告の逮捕状を取って、レバノンに身柄の引き渡しを求めていますが、日本との間に身柄引き渡し条約がなく、逃亡から1年半以上たったこともあり、引き渡しは厳しいとの見方が広がっています。