ネコ「腎臓病」治療へ 研究ストップも…
新型コロナウイルスの影響で、ネコのある病気の研究がストップしていましたが、今、1週間で1億円以上の寄付が集まる事態となっています。
飼い主の夫婦に大切に育てられていたネコのミミちゃん。去年、4歳の若さである病気を発症しました。
ミミちゃんの飼い主「私ら夫婦子供がいませんので、ミミが自分の娘、子供。1秒でも早く薬ができたら、ミミに飲ませてやりたい。助けてあげたい」
患った病気は「腎臓病」。尿を作る腎臓の機能が低下し告げられた余命は1か月。今も、自宅で点滴治療を行い持ちこたえている状態です。
これは腎臓病を患った別のネコのX線の画像。左側の正常な腎臓の直径は、およそ4センチあるのに対し、右側の腎臓は半分に萎縮し、腎不全を起こしていました。実は、ネコが「腎臓病」にかかるケースは非常に多く…。
つるばやし動物病院・つる林秀貴院長「3頭に1頭が“腎臓の病気”を患ってしまう」
※つるは雨冠に鶴
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いったいなぜなのか。長年謎に包まれたメカニズムが東大のチームにより、解明に近づいています。
東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター・宮崎徹教授「『AIMがちゃんと働いていないせい』だというのがほぼ明らかになりました」
ヒトの場合、尿の通り道に老廃物などがたまると、血中からAIMというタンパク質が出てきて、それらを取り除いてくれます。しかし、ネコの場合は、AIMをもっているものの、血中から出て来ることができず、老廃物が蓄積されてしまうことが判明したのです。
そこで、東大チームは、2023年の実用化をメドにネコの体内で正常に機能するAIMを開発しましたが、去年、コロナの影響を受け、企業からの援助がストップ。活動も止まってしまったのです。
しかし、開発のストップを知った全国の愛猫家から支援したいとの声が殺到。わずか1週間で、1億2800万円の寄付が集まったのです。
宮崎徹教授「研究に対するモチベーションがすごく上がった」
東大チームは研究の再開に向けて準備。ネコの平均寿命が30年に延びる可能性を見据えています。
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一方、コロナ禍で窮地に陥っている団体があります。
割り箸を器用に割った犬。からだに障害がある人を助ける介助犬の育成施設です。募金で成り立っているといいますが…。
日本介助犬福祉協会・川崎元広理事長「資金を集めるという意味でも、大変苦しい状況にはなってきている」
コロナ禍で募金活動ができず、資金が3割も減ってしまったのです。
川崎元広理事長「会員の方もコロナで生活が大変となってしまった、応援したいけどごめんなさいと言って」
介助犬の育成コストは、1頭につきおよそ300万円。保有する13頭のうち、5頭は、やむなく別の施設へ移動させ育成も滞った状態に。一刻も早い支援を待ち望んでいます。