“茨城のゴールドコースト”今夏の海開きを断念 砂浜消失で…
壮大な景観や絶好のサーフポイントがあることから、“茨城のゴールドコースト”とも呼ばれる海水浴場が、この夏の海開きを断念することを発表しました。去年の夏は約2万5000人が訪れたという人気の海水浴場ですが、断念の理由は「砂浜の消失」でした。
梅雨入り前の青い空。その下に広がる約1キロの砂浜と青い海。その景観の美しさや絶好のサーフポイントが多数あることから、ついた愛称は“茨城のゴールドコースト”。サーファーに人気の海水浴場、茨城県大竹海岸鉾田海水浴場です。
しかし、この夏は…
毎年遊びに来る茨城県民
「海水浴が今年からできないって。中止だって。そういう状況って、どういう状況って…」
昨年の夏は、約2万5000人が訪れたという鉾田海水浴場。“コロナ禍”での「中止」はありましたが、この夏、史上初めて別の理由で開設を断念したのです。
その“理由”は…
毎年遊びに来る茨城県民
「浸食で今年は海水浴はできない。えーうそだ、そんなわけないだろう」
全国的な問題となっている「砂浜の消失」です。
記者
「砂浜の階段のすぐ下のまで、波が近づいてきているのがわかります」
市の担当者の案内で海岸を歩いてみると…
──穴があいているところと、あいてないところがある。これはどういう違いがある?
市の担当者
「例年、砂浜の浸食によって、だんだん浜が下がってきて、このように(穴が)あいているものが出てきた現状です」
以前は、階段の3段目から4段目くらいまでを覆い尽くしていたはずの砂が消失。以前はなかった穴が“むきだし”となり…
──すごい深いです
市の担当者
「小さい子だったら(穴に)ひとり入ってしまうので、危険という判断で中止になった」
さらに、階段の下まで浸食されたことで、階段がデコボコになっていました。
──かなり隙間が広くなっている。先にいたっては崩壊というか
市の担当者
「こちらも浸食の影響。本来ならこの隙間がなく、下まで段差があった」
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なぜ、「砂浜の流出」が続いているのでしょうか。
海岸を管理する茨城県によると、大竹海岸に面する鹿島灘は、2つの川から流入した土砂が波に乗って一帯に運ばれることで、砂浜が保たれてきました。
しかし、1970年代頃から川から供給される土砂が減少。港などの都市開発が進み、砂が港を越えられないことも一因だと推察しています。
県は、海に流出する砂浜の量を減らすT字形のヘッドランドの整備や、砂の供給を続けるなど対策を続けてきましたが、大竹海岸などで砂浜が失われ続けているということです。
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まもなく始まる台風シーズン。海岸工学に詳しい専門家は…
海岸工学が専門 茨城大学・横木裕宗教授
「砂浜というのは、災害を抑えるという意味では、波の力を弱める効果がある。大竹海岸を例にすると、そばの家や道路は、大きな波が来ると冠水したり、波が入ってきたりが考えられる」
専門家は、防災の面からも“砂浜流出”は深刻な問題だと指摘しています。