「税金泥棒」「悪魔」…クマ駆除で自治体に抗議殺到 1か月で“苦情”700件も
クマの出没や被害が、全国各地で相次いでいます。自治体が対応に追われる中、クマを駆除した町に「殺すな」という抗議の電話が殺到していました。中には、心ない暴言もあるといいます。
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今年度、クマによる人身被害が過去最多を更新しています。(環境省による)
全国で最も被害が出ているのが秋田県で、県によると、8日時点でツキノワグマによる人身被害で66人が負傷しています。寄せられた目撃情報は先月までで3000件。1167頭のクマが捕獲され、駆除されたということです。
県内のある自治体では先月、クマ駆除がニュースになると、700件もの“苦情”が寄せられたといいます。その中には「子グマまでなぜ殺した」「税金泥棒」「役場を辞めろ」といったものもあったといいます。
さらに「(クマを殺して)子どもにどう教育するんですか?」という電話も。自治体が「ルールにのっとってやっています」と伝えると、「ルールはやぶるもんでしょ!」と一方的にまくし立て、電話を切ったといいます。
県によると、人里に一度おりたクマは、山に戻しても再び戻ってくる可能性が高いため、駆除せざるを得ないということです。
北海道札幌市では今年7月、親子のクマが目撃され、親グマを駆除し子グマも駆除する方針だと示した際、「なぜそのような残酷なことをするの」「クマからしたら人の方が害獣だ」「子グマまで殺すだなんて悪魔ですか?」など、問い合わせが殺到しました。ただ、その大半は北海道以外からの問い合わせだったということです。
札幌市環境局・環境共生担当課 坂田一人課長
「通常の業務が遅れてしまったり、遅れを取り戻すために長時間労働・深夜勤務もあった」
市は、人里に現れたクマについては駆除を選択することがあると説明。一方で――
坂田課長
「ヒグマにはヒグマが安心して暮らせる森を確保し、市街地では市民が安全に暮らせる場所を確保。すみ分けで共生をはかろうと、ヒグマも、そもそもは人間が住む前に北海道にすんでいた先輩にあたりますので」
やみくもに駆除するのではなく、クマと人が共生できるよう生活圏をすみ分ける取り組みを進めているということです。