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市街地で接近戦か…戦闘激化の中でも「助けたい」望み捨てないボランティア

2023年11月9日 19:07
市街地で接近戦か…戦闘激化の中でも「助けたい」望み捨てないボランティア

イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘は激化していて、市街地での接近戦も行われているとみられます。双方の憎しみが増幅する中でも対話を続けようと、ボランティア活動をする人たちを取材しました。

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イスラム組織ハマスが公開した映像には、「神は偉大なり! 進め!」と叫ぶ声が。ガザ地区に進軍するイスラエル軍と市街地で接近戦を展開。イスラエルの軍用車に狙いを定め攻撃する様子が映っていました。多数の車両を破壊したと主張しています。

一方、イスラエル軍も掃討作戦を継続。ハマスの殲滅(せんめつ)を目指す軍の部隊はガザ市の中心部に到達し、激しい市街戦を行いました。イスラエル軍のSNSには、制圧した地域を重機で掘り返し、ハマスが使用しているとする地下トンネルを爆破する様子が公開されました。

とめどなく続く攻撃。戦闘の激化でパレスチナ人の死傷者は増加。双方で悲しみと憎しみが増幅し、対立は激化の一途をたどっています。

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しかし、こうした状況でもパレスチナ人との融和をあきらめず「ボランティア活動」を行うイスラエルの人たちがいます。私たちが会ったのはヤコブさん。ヤコブさんが行っているのは、パレスチナ人を病院に送迎する活動です。

出迎えたのはパレスチナ人のジャドくん(3)親子。ジャドくんは生まれつき肝臓の病気を患っていて、定期的にイスラエルの病院で治療を受けています。さらに、病院では、パレスチナ自治区では手に入らない薬ももらっています。

ジャドくんのように十分な医療が受けられないパレスチナ人を、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸にある家から、イスラエルの病院に送迎しています。

ジャドくんの父親
「病院から検問所まで連れて行ってくれてありがとう」

ヤコブさんは、ハマスによる襲撃を受けた南部の集落近くの村出身です。ハマスの襲撃で多数の友人が殺害されてもなお、なぜ、このボランティア活動を続けているのか尋ねました。

ボランティア活動を続けるイスラエル人・ヤコブさん
「これは妻にも話したことですが、私の奉仕活動はどんな力でも止めることはできません。どんなに大変で困難な状況でも、私はそれを続けます」

ハマスによる襲撃を受けたイリットさんも、ガザ地区の住民をイスラエルの病院に送迎していたボランティアの1人です。イリットさんの住む集落はハマスによる襲撃を受け、自宅にも戦闘員が侵入。多くの友人が殺害され、ボランティア活動で使っていた車は、ハマスの戦闘員に破壊されてしまいました。

それでも、いつかガザ地区でボランティア活動を再開したいといいますが…

――ガザとの境界が再開したら、ボランティア活動は再開しますか?

ボランティア活動を行っていたイスラエル人・イリットさん
「彼らは車を壊しました。だから続けられません。病気の人を助けたいと思いますが、パレスチナ人を後部座席に乗せて運転するのは正直恐ろしい。でも、その恐怖を乗り越えられるよう努力したいです」

パレスチナとイスラエルの共存に望みを捨てない人々。その思いをよそに双方の戦闘は続いています。