「子ども10分に1人殺されている」ハマス掃討作戦…ガザ市の中心部に到達 “病院標的”に危機感も
パレスチナ自治区ガザ地区でハマスの掃討作戦を続けるイスラエル軍は、ガザ市の中心部まで進軍し、地上戦を繰り広げていることを明らかにしました。
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7日、イスラエル軍のSNSに公開されたのは、ガザ地区北部にある、イスラエル軍が制圧したかつての遊園地の映像。観覧車近くで軍が発見したのは、イスラム組織ハマスが使用しているとする地下トンネルです。別の場所でもトンネルを発見。爆弾で破壊しました。
ハマス壊滅を掲げ、ガザ市を完全包囲したとしていたイスラエル軍。ガラント国防相は7日、ガザ市の中心部まで到達したと明らかにしました。「ハマスが敗北するまで攻撃は続く」と強調しています。
そのガザ市にある最大の医療機関「シファ病院」では、イスラエル軍が進軍する中でも、敷地内は避難してきた人で埋め尽くされたままです。病棟内でも廊下にマットレスを敷き、終わりのない過酷な環境での避難生活が続いています。
6日には病院を含む複合施設が攻撃されました。病院にはケガをした子どもたちが運び込まれていました。
ガザ地区保健当局・報道官(ガザ市シファ病院 7日)
「イスラエルはガザ地区で、これまで4200人以上の子どもを殺しています。10分に1人のペースで子どもが殺されているのです」
イスラエル軍は、シファ病院の地下にハマスの司令部があると主張。医師は病院自体が標的になるのではないかと危機感をあらわにしています。
シファ病院の医師
「深刻な事態が周囲で起きています。イスラエル軍がどんどん近づいていると感じます」
そして、連日続く空爆。ガザ地区南部では、ガレキの中で懸命の救助活動が行われていました。
住民(ガザ地区ハンユニス 7日)
「これがイスラエルが言う“勇敢さ”の正体だ。民間人に力を見せつけている。赤ちゃん、子どもがガレキに埋まっている」
「下にもう1人いるぞ」
一方のハマスも、ロケット弾でイスラエルを攻撃。激しい応酬が続いています。
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緊張が高まっているのはガザ地区だけではありません。私たちが向かったのは、レバノンとの国境に近いゴラン高原です。
後閑駿一記者
「私はいまレバノンとシリアとの国境からほど近い、イスラエル軍の拠点にきています。こちらではロケットランチャーを配備して情勢の悪化に備えています」
兵士の数も増強しているといいます。
イスラエル軍兵士
「どんな状況でも対応できるように、準備ができている」
こうした対応の背景にあるのは――
レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」の最高指導者ナスララ師は、3日、イスラエルとハマスとの軍事衝突以降、初めて演説し、「レバノンの戦線では、あらゆる可能性が開かれている」とイスラエルを強くけん制しました。イスラエル北部では、ヒズボラとの間での攻撃の応酬が続いていて、戦闘の激化への懸念が高まっているのです。
レバノンとの国境から約20キロの集落では、シェルターの補強工事が行われていました。さらに…
集落の住民(イスラエル北部)
「これは60年近く前のもので、使用には適していないんです」
集落にあるシェルターでは数が足りないため、旧式のものを使わざるを得ない状況だといいます。
ガザ地区とイスラエルの北部で高まる緊張。事態は悪化の一途をたどっています。