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“エコ促進”ポイント制度始まる 狙いとは

2021年8月31日 18:19
“エコ促進”ポイント制度始まる 狙いとは

来年4月からエコを促進するための新たなポイントを立ち上げると31日、小泉環境大臣が会見で発表しました。

    ◇◇◇

■“エコな行動”とった個人にポイント 想定される5つの分野とは

環境省が来年度から始めようとしているグリーンライフ・ポイントについて、小泉環境大臣は─。

小泉環境大臣
「社会全体、国民一人ひとりのライフスタイルの行動変容につながる形につなげていきたい。その1つがグリーンライフ・ポイント」

これは、環境に配慮した行動、エコな行動をとった個人にポイントを発行するというものです。では、ポイントがもらえるエコな行動とは、どのようなものなのでしょうか。

以下の5つの分野が想定されています。

1.食
食品ロス対策として販売期限間の際食品を買うことや、食べ残しの持ち帰りといった行動です。

2.衣類
まだ、使える服を捨てたりすることや、売れ残って大量に廃棄される服が問題になっています。ファッションロス削減への貢献となる、服を再利用したり、服のサブスク、つまり借りるサービスを利用したりする行動です。

3.循環
プラスチック製のスプーンやストローを受け取らないことや、簡易包装の商品を選んで買うなどの行動です。

4.住まい
太陽光など再生可能エネルギーによる電気に切り替えることや、高性能な省エネ機器に買いかえるなどの行動です。

5.移動
カーシェアやシェアサイクルの利用などの行動です。

こうした行動の中には、今でもすでにやっていることもあるかもしれません。こうしたエコな行動にポイントがもらえるとなると、どうでしょうか。

実践している人もいますが、エコがいいとわかっていても、行動が続かない、実践されないという面があります。そうであれば、お得感のある動機付けをして、行動してもらおうという狙いなのです。

■消費者・企業側のメリットは?

今、私たちが普段買い物で使っているようなポイントと同じような制度になりそうです。10年以上前に「家電エコポイント」がありました。違いはどこにあるのでしょうか。

家電エコポイントは、2009年に始まって、2012年に終了しました。一定レベル以上の省エネ性能のものを買って、申請したらエコポイントがもらえました。そのポイントは、商品券や省エネ商品などと交換できました。家電エコポイントは、当時落ち込んでいた経済を活性化させるためなどの制度でもありました。

一方、今回のグリーンライフ・ポイントは、一人ひとりが環境に配慮した行動をとるようライフスタイルの転換を促し、最終的には温室効果ガスを削減するのが狙いです。

例えば、お店でエコな商品を買った、食べ残しを持ち帰ったなどの行動に対し、企業などがグリーンライフ・ポイントを発行します。どういう行動を対象にするか、そこに、どれくらいのポイントをつけるかも企業側から提案してもらう、というものになります。

ポイントは、使いやすいものでないと浸透しないかもしれません。そのため、今企業が使っているポイントを活用していいということです。そうすれば、気軽にポイントをもらえて、普段の買い物にも使えます。これは消費者にとってメリットになりますし、お得感のある動機付けになります。

しかし、消費者だけじゃなく、企業側にもメリットがないと広がっていかないという側面もあります。このポイント目当てにお客さんがくるとか、処分費用がかさむ食品ロス、ファッションロスでの大量廃棄を客側の行動変容で減れば、企業側にもメリットになります。

■食品ロス「最大のポイント」プラスチックゴミ削減も

冒頭の5分野について、小泉大臣が特に重要視しているのが、食品ロスです。

小泉環境大臣
「最大のポイントの1つが『食』であります。これは誰もができる脱炭素の行動の1つが『食』です」

背景には、日本の温室効果ガスの排出源は、消費ベースで家計関連が6割以上を占めており、そのうち「食」は12%と割合も大きいことがあります。

食品ロスを減らす取り組みは、すでに始まっているところもあります。

コーヒーチェーンのスターバックスでは、今月から消費期限が迫ったケーキやドーナツなどを、閉店のおよそ3時間前から20%値引きして売れ残りを防ぐ取り組みを始めました。

コンビニでは、セブン-イレブンが消費期限間近の商品を電子マネー「nanaco」で購入すると、5%分のポイントがもらえる仕組みで実質、値引きをしています。環境省は、セブン-イレブンのようなポイント還元が、グリーンライフ・ポイント制度の形の1つで、これが広がってほしいとしています。

そして、この制度でもう1つのポイントがプラスチックゴミの削減です。

来年4月から、プラスチックゴミ削減のための新しい取り組みが始まります。例えば、コンビニやスーパーで、無料でもらえるプラスチック製のスプーンやフォーク、ストロー、それからホテルや旅館などでもらえた使い捨ての歯ブラシやくしなど12品目の提供を削減するよう事業者に求めています。

消費者側は、どのように変わっていくのでしょうか。レジ袋が有料になりました。それと同じように、例えばプラスチックスプーンが有料になる可能性もあります。

グリーンライフ・ポイント制度を導入して、スプーンいらないと断ればポイントがもらえるようにすれば、エコ活動の相乗効果が狙えるとしています。

    ◇◇◇

環境へ配慮する取り組みをすでに始めている企業もありますが、まだごく一部にすぎません。企業からは、「エコは売れない」、「高くつく」といった声もあり、「言うはやすく行うは難し」という問題も抱えていました。個人の意識が変わることで、環境へ貢献する企業ほど消費者も応援し、企業も成長する構造になっていくことが目指すところといえます。

(2021年8月31日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)