太陽光発電“エコ”な電気 導入の課題とは
暑い夏を迎え、リモートワークやクーラーなどで電気の使用量が増えています。こうしたなか、エコな電気として活用が広がっているのが太陽光発電です。しかし、導入を進めるなかで課題も出てきています。
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梅雨が明け、日差しが益々厳しくなる夏本番!食べたくなるのがウナギです。脂のはじける音が食欲をそそります。このウナギ、実は、養殖施設の電力は太陽光でまかなわれています。
株式会社ジースリーの養鰻場では、冷たい地下水をくみ上げ、養殖に適した25度程度まで温めるときに、太陽光で発電した電気を活用。
ジースリー・金子史朗社長「今いる子どもたちに胸を張って。みんなでおいしく食べられるように、安心安全な環境に配慮したそういった施設で作ってるんだよと」
この太陽光発電をめぐって、21日、重要な方針が示されます。
菅首相「2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指します」
政府は石炭や石油に頼らない発電を目指し、エネルギー政策を転換しようとしています。政府はすべての電力のうち、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの割合を2030年度までに36~38パーセントにまで引き上げるとしています。
しかし、再生可能エネルギーの割合を半分以上にすると、将来的に発電にかかるコストが2倍になるとの試算もあり、それらは電気代に跳ね返ります。
風力発電などに比べて発電コストが安く、2030年度までに広く普及できる再生可能エネルギーは「現実的には太陽光しかない」と経産省幹部はいいます。
そこで政府は住宅への太陽光パネルの設置も進めたい考えです。災害時の電力になるほか、余った電気を売ることもでき、利用者にとってメリットも。
街の人は「(太陽光発電で)電気代が安くなるのであればつけてみたい」
東京都も「初期費用ゼロ」で太陽光パネルを自宅に設置できる事業に補助金を出しています。
ただ、普及が進む太陽光発電で、こんな課題も。私たちが訪れたのは、日照時間が全国1位の山梨県。県内ではすでに1万1000件以上の太陽光施設が稼働していますが、山に囲まれているからこその課題も出てきています。
山梨県では今月6日、山間部などでの太陽光発電の新設を原則禁止する条例が成立。山の斜面や土砂災害の危険がある区域に規制をかけました。
山梨県環境・エネルギー政策課中澤一郎課長「斜面が崩れるのではないかとか、景観上好ましくないのではないかという声は非常に多いです」
また、天候に大きく左右される太陽光発電に頼るリスクも指摘されています。そのため、政府内には原子力発電も一定程度維持すべきとの意見があり、安全で安定した電力をいかに供給できるかが焦点になります。