処理水めぐり IAEA幹部が第一原発視察
福島第一原発にたまり続ける「処理水」の海洋放出をめぐって、来日していたIAEA(=国際原子力機関)の幹部が第一原発を視察後、記者会見を行い、今後どのような調査を行うか見通しを語りました。
東京電力は福島第一原発にたまり続ける処理水について、原発から海底トンネルを掘って、約1キロ先の沖合から海に放出する計画です。
来日していたIAEAのエブラール事務次長は8日、福島第一原発を訪問し、多核種除去設備(アルプス)や、処理水を貯蔵するタンクなどを視察。東京電力と意見交換を行いました。
9日には会見を行い、IAEAが行う今後の調査について、見通しを示しました。それによりますと、今年12月にも専門の調査団を日本に派遣し、調査を始めるとしています。
調査団について“国際エキスパートグループ”を構成するとしていて、そのメンバーについては「11か国からなる外部の専門家の中には、恐らく韓国や中国も入るだろう」と語りました。
経済産業省などによると、IAEAによるこの調査は、処理水の濃度や放出の手順、放射線への影響を調べるもので、海洋放出の開始が予定されている2023年の春までに、報告書をまとめるとしています。
また、海水や魚などのモニタリングについては、日本側と同じ試料をIAEAも分析し、さら第三国の機関にも分析してもらう計画だとしています。
政府は処理水について、放射性物質の濃度を基準値よりも大幅に薄めた上で、海に放出する方針ですが、IAEAなどの調査も並行して行うことで透明性を確保し、風評被害の払拭につなげたい考えです。