“記録的な不漁”イクラとサケが値上がり
イクラとサケの値段が上がり、都内の飲食店では看板メニューが消えた店も出てきています。日本一のサケの産地である北海道では、秋サケ漁の水揚げに、ある異変がおきていました。
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これぞ日本の秋の“ぜいたくコラボ”。ご飯の上に香ばしく焼き上げたサケを乗せたら、ご飯が隠れるほどイクラをふんだんに乗せて完成。サケとイクラの親子丼です。
都内の飲食店「根室食堂」では、ランチの目玉メニューとして親子丼を980円で提供。客の半分が注文するほどの人気メニューでした。
根室食堂 平山徳治店長
「(イクラが)4000円くらいですかね、500グラム。この先、出せるっていう保証がなくなってきたかなと。メニューからいったん、今の時点だと外しています」
この店では数年前には1キロ3500円ほどで仕入れていた国産イクラが、現在8000円ほどと倍以上に。ロシア産を使うなど、安く提供する努力もしましたが、それでも採算がとれず、2週間前にメニューから親子丼を外したというのです。
店から“看板メニュー”が消えた原因は、日本一のサケの産地、北海道での“記録的な不漁”です。
えりも沖で9月から始まった秋サケの定置網漁。網を引き揚げると大きな魚体が姿を現しましたが、揚がったのはサケではなく、大量のブリでした。
秋サケ漁の初日、この船で水揚げされたサケは1匹だけ。えりも港での初日の水揚げはブリが25トンに対し、本命のサケはわずか600キロに終わりました。
えりも鮭定置網部会 佐藤勝部会長
「毎年、期待はしてやってるんだけどね。悪いね、特に太平洋側は悪い」
この港では21日もブリがおよそ18トンに対し、サケは100キロほど。不漁だった去年の30%ほどしかサケがとれていないといいます。
考えられる原因は…
えりも鮭定置網部会 佐藤勝部会長
「水温がすべてなのかどうかはわからないけど、とにかく(水温が)20℃もあればサケはだめだよね」
港周辺の海面水温は20日も20℃ほど。海水温の高さが秋サケ漁に影響を及ぼしているというのです。
不漁の影響は食卓にも及んでいます。
都内のスーパー、信濃屋・代田食品館では、旬の秋サケを先週から売り場に並べ始めましたが…
信濃屋食品 鈴木誠統括本部長
「今サケの売り場はこれくらいなんですけど、通常ですとこの倍、または3倍の広さで展開するのが例年のサケの売り場になりますね」
秋サケが出回る量が少なく、売り場は半分以下に。価格も例年と比べ3~4割高いといいます。
そうなると、必然的にイクラや筋子の価格も…。
信濃屋食品 鈴木誠統括本部長
「2割~3割、こちらの方も値段が上がってしまっている状態」
年末年始にかけ、ますます需要が高まるサケとイクラ。長期的な高値が心配されます。