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「子供たちに笑顔を」ある劇団の葛藤と奮闘

2021年9月28日 18:42
「子供たちに笑顔を」ある劇団の葛藤と奮闘

「芸術の秋」ですが、全国の小学校などで行われる芸術鑑賞がキャンセルされるなど、劇団にとって厳しい状態が続いています。この夏、新型コロナウイルスの第5波がこの学校を直撃するなか、「子供たちに笑顔を届けたい」と奮闘する劇団を取材しました。

    ◇

27日、東京・八王子市の小学校で開催された演劇の鑑賞会。会場は子どもたちの笑い声に包まれていました。演じているのは、「劇団風の子」。全国各地の小学校や幼稚園で公演を続けてきました。

しかし、新型コロナで今回、舞台初日がおよそ1か月遅れに。「不要不急」という言葉が頭をよぎり、これまでに何度も葛藤を繰り返してきました。

入団2年目・櫻田和さん(28)
「この第5波が来てからはキャンセル、キャンセルってなって」

入団10年目・山口舞さん(31)
「2か月くらい子供たちに会えない期間があってさみしい」

この夏、一部の学校を休校に追い込んだ第5波。今月だけでも30件以上の公演がキャンセルとなりました。

その背景に…

劇団風の子・大澗弘幸代表
「第5波のデルタ株が子供にうつるってところで、かなり影響受けていますね」「自分たちの演劇がやっぱり不要なんじゃないか、必要ないんじゃないかって劇団はすごく悩んだり」

劇団の代表・大澗さんは“演劇が不要”ではないかと悩んだこともあったと話します。

それでも生の演劇を届けたいと、子どもたち同士の距離をあけるなど独自に感染対策。子どもたちが思い切り笑えるのか不安を抱える中、今回演じる作品は、内気で人見知りの小学生の女の子が裸の王様と入れ替わることで成長していく物語。そこには、コロナ禍を生きる子どもたちにも通じるメッセージがありました。

劇団風の子・大澗弘幸代表
「自己肯定感が持てない子がやっぱり多くて、そんな子たちにエールを送りたくて、この作品を作りました」「楽しかったこととかきっとそれ今我慢してる。僕たちはのびのび生きていいんだよって」

そんな代表の思いに劇団員も――。

裸の王様役 入団33年目・菅原武人さん(55)
「むしろこういうときだからこそ楽しめる。そのためのお芝居だったり文化だったりと思うので」

主人公あやか役 入団2年目・櫻田和さん(28)
「楽しいことって意外とそこらへんにあったりするんだよっていうのを見つけてもらえるとうれしいかな」

そして迎えた本番当日。

目の前で繰り広げられる劇の迫力に、最初は少し緊張気味のこどもたち。しかし、徐々に笑みがこぼれ…音楽に合わせて体を動かす子も。劇がクライマックスに近づくにつれ、会場全体に子どもたちの笑顔が広がっていきました。

劇を見た子どもたちは――。

小学5年生
「すんごい楽しくておもしろかったです。生でみれるのって楽しいと思う。今コロナだから」

小学6年生
「コミュニケーションがとれない女の子が経験を積んで、人と話せるようになったというのが感動しました」「明るく人と接せられたらいいなって」

“コロナ禍”でも自分らしくのびのびと生きてほしい、この劇に込めたメッセージは子どもたちに届いたようです。

劇団風の子・大澗弘幸代表
「届けたいだけですね。届けるために何ができるのか、やり方を模索しながら、この活動だけはなくさないようにと、すごく強く改めて思っています」

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