広がる“ジビエ料理”ファストフード店でも
イノシシやシカの肉を使ったジビエ料理が徐々に身近になっています。農作物への被害を防ぐことにもつながるジビエ料理。大手チェーン店やファストフード店でも食べられるようになっています。
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生活雑貨などを販売する無印良品。人気商品の一つが棚いっぱいに並ぶレトルトカレーです。そこに加わったのが、シカ肉やイノシシ肉といったジビエを使ったカレーです。先週、発売されました。
お客さん(20代)
「ジビエですよね。食べたことないからどんな感じなのか」
お客さん(20代)
「あまり食べないお肉なので、カレーだと割と食べやすくはなるのかな」
もともと、運営するカフェではジビエを使ったカレーを提供していました。
シカ肉を使ったカレーを食べてみました。
記者
「臭みがなくてスパイスがすごくきいているんですけど、甘みが感じられて食べやすいです」
ただ、ジビエの活用には課題もあったといいます。
良品計画・食品部商品開発担当 鈴木美智子さん
「流通する先がないというのもジビエの課題の一つになっていたので、非常に前々から生産者さんと話をしながら詰めていって、カレーとして発売できるようになった」
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ジビエを活用した動きは他にも広がっています。
27日、都内で行われたのは農林水産省と「ぐるなび」が行うジビエフェアの発表会です。
「CoCo壱番屋」や「星のや富士」など、ジビエを取り扱う全国1000以上の飲食店やホテルなどが、11月から開設される特設サイトに掲載されます。
その目的は鳥獣対策と資源としての有効活用です。
農林水産省・農村振興局鳥獣対策室 仙波徹室長
「地域にとってはイノシシ・シカ・サル等々、やっかいな存在でもあります。鳥獣害として野菜や果物をたべてしまう」
山から人里におりてきて、農作物に被害をあたえることもあるイノシシやシカなどの野生動物。
農林水産省の調べでは、野生鳥獣による農作物被害額は2019年度でおよそ158億円。被害を防ぐためなどの目的で捕獲されたイノシシやシカは、20年間で4倍以上に増えています。
捕獲頭数
2020年 イノシシ:68万頭 シカ:67万頭
2000年 イノシシ:15万頭 シカ:14万頭
農林水産省・農村振興局鳥獣対策室 仙波徹室長
「共存する一つのあり方として、とった命を無駄にしないでおいしくいただくと。地域を潤していくと、そういった地域を元気にする意味でもジビエ振興は二つの意味がある」
ジビエは地域の資源にもなるということです。
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ジビエの波はファストフード店にも及んでいます。
記者
「こちらのお店のメニューにはジビエ鹿肉バーガーと書かれています」
ロッテリアが9月から販売しているのはシカ肉を使ったハンバーガーです。
ロッテリア・マーケティング部 緒方高行部長
「シカ肉は赤み肉が多く、高タンパク・低カロリーで鉄分が豊富で非常に質のよい食材」
そのシカ肉をパティに使用。ソースにもシカ肉を混ぜているといいます。
ジビエバーガーを食べた台湾出身の男性は…
“ジビエバーガー”を食べた学生(20代)
「普通のハンバーガーより少し肉厚。あまり見たことがないバーガーなので試したかったです。くさくないと思う。私にとっては大丈夫です」
一部店舗では販売を終了していますが、今後、第2弾の“ジビエバーガー”も検討しているということです。
やっかいものではなく資源にする。ジビエを活用した商品が次々と登場しています。