「女性の自殺」増加…職場環境の変化が一因
2日に閣議決定された自殺対策白書によると、女性の自殺は2年ぶりに増加。新型コロナウイルスで仕事が影響を受けるなどし、多くの女性が、不安や生きづらさを抱えています。悩む人に対し、周囲はどんなサインを読み取り、声をかけると良いのでしょうか?
■LINEで相談…コロナより増
都内の「NPO法人BONDプロジェクト」を2日に訪ねました。生きづらさを抱える若い女性たちを支援しています。
20代女性がオンラインで相談していました。「『死にたい』っていう4文字の言葉が、ずっと頭に残っているというか」
プロジェクトの橘ジュン代表は「1人で抱えるのは苦しいよね。その死にたいという気持ち、なかなか言葉に出しづらいもんね」と応じました。
電話やLINEなどによる若い女性からの相談は、1年間で約4万件。LINEでの相談は、新型コロナウイルスが流行する前と比べて約3000件増えたといいます。
■休校で…小中高生の自殺「最多」
2日に閣議決定された自殺対策白書によると、2020年に全国で自殺した人は2万1081人で、前年より912人増えました。男性は女性よりも多く、1万4055人で11年連続減少となりました。一方で女性は7026人で、2年ぶりに増加しています。
BONDプロジェクトには、コロナの影響で仕事が減り、辞めざるを得なかったという10代女性からの相談もありました。
女性
「駅が近いので死のうかなって思っちゃったり」
橘代表
「踏切?」
女性
「飛び込み」
最近の相談の傾向について、橘代表は「コロナで先のことを考えた時に、本当に計画通りに行くのだろうかとか、そういう不安は感じやすくなったのかなと思って(います)」と言います。
また橘代表は「学校行きたくないとか、オンラインだったから授業出られてたけど、人混みが怖いとか…」とも。子どもにも影響が及んでいるといいます。
自殺対策白書によると、去年の小中高校生の自殺は499人で過去最多でした。去年3月の一斉休校要請の直後に大きく減少し、学校が再開した6月には一転急増するなど、コロナによる影響もあるとみられます。
■自殺増…「職場環境の変化」が一因
有働由美子キャスター
「女性の自殺者数が増えているということですが、私たち周りの人にできることはないのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「まず、どうして増えているかについて確認します。自殺対策白書では、働く女性の自殺が増えていると指摘しています。その背景の1つとして、職場環境の変化を挙げています」
「相談に乗っている『NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア』に聞いたところ、コロナで仕事がなくなることや、今増えているテレワークの影響などが考えられるといいます」
有働キャスター
「確かにテレワークで、コミュニケーションが取りづらくなっていることも言われています。どうすれば(悩みに)気付いてあげられるのでしょうか?」
■サインは? 話しかけ方のコツは?
小野委員
「東京メンタルヘルス・スクエアによると、テレワークに限らず、職場で注意が必要なサインがあります」
「例えば自己嫌悪と、急な孤立。『迷惑かけちゃっていて、私なんてこの職場にいない方がいいよね』など、誰にも必要とされていないという趣旨の発言をすること。また、今までは周りの人と仲良く話していたのに、距離を取って孤立しているのもサインです」
「誰もが悩みを抱えますが、もしそうした人に声をかけるとしたら、事実に基づいて話しかけることが大事だといいます」
有働キャスター
「どういうことですか?」
小野委員
「例えば急に遅刻が増えた人に、『これまでは遅刻はなかったよね。最近何かあったの?』と話しかけます。悩みを抱えている人は、憶測で言われると傷ついてしまうこともあるので、誰が見ても感じる変化など、事実に基づいて話しかける必要があるといいます」
「さらに、話しかける側も、1人でどうにかしようとしないことが大切です。会社に相談室や健康管理を担当する人がいたら『心配な人がいるんです』と知らせて、相談することも大事だといいます。
■電話やSNSで相談を
有働キャスター
「電話でも24時間『よりそいホットライン』(0120-279-338)で相談を受け付けています。受付時間は異なりますが、SNSでも相談できます」
「LINEでは『10代20代の女の子専用LINE』(友だち追加)『こころのほっとチャット』(ID検索:@kokorohotchat)があります。『こんな悩み、相談してもいいのかな』など思わずに、こうした窓口にもぜひ頼ってほしいと思います」
(11月2日『news zero』より)