赤ちゃんの名前 コロナで“安定重視”傾向
赤ちゃんの名前に関する最新のランキングが発表されました。いま、生まれてくる子どもはどのような名前が多いのでしょうか。そこから見えてくる時代や世相の変化に注目しました。
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妊娠や子育てに関する情報発信メディア「たまひよ」が毎年行っている「赤ちゃんの名前ランキング」。今年1月から9月に生まれた新生児、およそ21万人を対象とした調査です。
■男女のランキング10位は?“14年連続トップ3”人気の名前も
最新の名前ランキング100位の中から上位10位を並べます。
男の子は──。
10位 暖 :だん
9位 律 :りつ
8位 大翔:ひろと
7位 碧 :あお
5位 朝陽:あさひ
湊 :みなと
4位 樹 :いつき
3位 蒼 :あおい
2位 陽翔:はると
1位 蓮 :れん
「れん」はずっと人気の名前で、4年連続で1位となっています。トップ3で見えると14年連続でランクインするほど人気の名前です。ハスの力強く美しいイメージが人気の理由だそうです。ちなみに、藤井キャスターの名前「貴彦」は100位の中には入っていませんでした。
続いて女の子は──。
10位 杏 :あん
9位 結菜:ゆいな
8位 莉子:りこ
「莉子」の「子」が使われている名前は、最近、減っています。
7位 澪 :みお
6位 陽菜:ひな
5位 葵 :あおい
4位 芽依:めい
3位 凛 :りん
1位は同率となっています。
1位 紬 :つむぎ
陽葵:ひまり
「ひまり」は6年連続で1位ということで、太陽のように明るく、ひまわりのようにまっすぐ育ってほしい、といった願いが込められているようです。
「つむぎ」は去年の5位からランクアップして、初めて1位になりました。人や縁をつむいでいってほしい、といった願いが込められているということです。
ちなみに、市來キャスターの名前「玲奈」は81位にランクインしていました。
こうしてみると、最近は「漢字一文字」の名前も増えてきています。
■名前の傾向…コロナ禍で“安定重視”「ジェンダーフリー」も
この調査では、名前をつける上で重視したことを聞いています。「赤ちゃんの名前 重視したことは?」という質問の答え(最大3つまで回答)は──。
1位 読み・音の響き 61.9%
2位 画数 47.5%
3位 漢字の持つ意味 46.2%
「読み・音の響き」を考えたという答えなどが上位にきましたが、興味深いのは──。
12位 男女共通であること 3.5%
実際、今年のランキングを見ますと、「あおい」という読みが、男の子で3位、女の子で5位にランクインしています。ほかにも「あさひ」、「りつ」など、男の子でも、女の子でも違和感がないジェンダーフリーな名前が増えています。
そのほかの傾向についても、調査を行った「たまひよ しあわせ名前研究所」に聞いたところ、「コロナ禍の前後で、名づけに込める思いに変化があった。先行き不安定な情勢の中、はやりのものや目新しさよりも安定感を重視する方が増えた」といいます。
名字と名前のバランスが見た目にも安定感があるなど、不安定な情勢の中、「せめて子どもの名前だけでも安定、安心を」といった気持ちが表れているようです。
■「スポーツ選手」「改元」…名前に反映された“世相”は
また、その時代ごとの世相が名前に反映される傾向があります。過去のランキングを振り返ってみます。
この調査が始まった2005年の1位は、次のようになっていました。
男の子 颯太:そうた
女の子 陽菜:ひな
この年、人気が急浮上した名前が「さくらちゃん」「愛ちゃん」「真央ちゃん」で、共通点はスポーツ選手です。ゴルフの横峯さくらさん、卓球の福原愛さん、フィギュアスケートの浅田真央さんなど、スポーツ選手の名前が流行しました。
次に平成から令和へと改元された2019年は──。
男の子
9位 新 :あらた
10位 大和:やまと
女の子
6位 咲良:さくら
10位 結月:ゆづき
このように、男女ともに「新しい年」や「和」をイメージする名前が増えました。改元は一生に1度あるか、ないかという機会なので、親には、せっかくだから名前に込めたいという気持ちがありそうです。
また、近年の傾向について、先ほどの研究所は「キラキラネームはほとんどなくなった。近年は慎重に名字との組み合わせなど勉強する人が多い」と話しています。
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子どもの名前は、その時代のおかれた環境や世相を表すと同時に、親の考え方や理想、子どもへの期待なども込められていて、とても奥が深いものだなと感じました。生まれてきた子どもに幸せな人生を歩んでほしい、という親や周囲の思いをたまには思い出して、自らの人生を振り返ってみるのもいいかもしれません。
(2021年11月4日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)