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感染しづらい人を調査 新ワクチン開発も?

2021年11月11日 19:23
感染しづらい人を調査 新ワクチン開発も?

来月から新型コロナウイルスの3回目のワクチン接種が始まりますが、気になる副反応について調べました。また、コロナに感染しづらい人が一定数いるという研究結果が発表され、全く新しいタイプの次世代型ワクチン開発につながる可能性も出てきました。


■感染収束の“鍵”…3回目の接種は「来月から順次」

11日午後、東京都の感染状況を分析する会議が開かれました。専門家は感染状況について「新規陽性者数の7日間平均は横ばいだが、増加比が前回の70%台から110%台に上昇した」ということで、感染者数は極めて低い水準に収まっているものの、今後の動向には注意が必要だとしました。

年末に向けてクリスマス、忘年会、帰省など会食の機会が増えることから、マスクを外しての長時間の会話や普段会っていない人との会食は感染のリスクが高まるので、改めて注意が必要だと呼びかけています。

感染収束の鍵を握るワクチンですが、3回目の接種について10日、岸田総理は会見で、「18歳以上の希望者全員を対象に来月から開始する」と述べました。

2回接種後、8か月以上経過した人から順次開始する見通しで、1回目と2回目の接種が早かった医療従事者、そして、高齢者は年明け以降になる可能性があります。

3回目接種で使われるワクチンは、現段階ではファイザー製とみられています。対象は開始時点では18歳以上ですが、12歳から17歳については、ファイザーから安全性と有効性に関するデータが提出され次第、対象年齢の引き下げを検討する見通しです。

これまで職域接種などでモデルナ製のワクチンを接種した人もいますが、モデルナの3回目接種はまだ承認申請がされていません。申請され次第、審議される見通しです。

ファイザーワクチンについては、15日に予定されている厚生労働省のワクチン分科会で、モデルナのワクチンを打った人がファイザーを打つ「交互接種」が可能かどうかや、1回目、2回目と同様、無料で受けられるようにするかどうかなどが検討される見通しです。


■3回目の接種…気になる“副反応”は?

1回目、2回目の接種後に腕の痛みや発熱などでつらい思いをした人も多いと思いますが、3回目の接種後の副反応はどうなのでしょうか。

ファイザーが当局に提出したデータによると、接種部位の痛みや倦怠感は2回目より3回目の接種後の方がやや高く、頭痛や筋肉痛は3回目の接種後の方がやや低いということです。また、38℃以上の発熱は、3回目の接種後では8.7%だったということで、全体としては大きく変わらないように見えます。


■コロナに“感染しづらい人”に共通の特徴…新しいワクチン開発につながるか?

こうした中、コロナに感染しづらい人が一定数いて、全く新しいタイプのワクチン開発につながる可能性があるという研究結果がイギリスで発表されました。ロンドン大学の研究チームが、去年、新型コロナがイギリスで最初に猛威を振るった第一波の際に、ロンドン市内の医療従事者を対象に感染状況や免疫反応を調べました。

患者と接する医療従事者は通常、感染リスクが高いと考えられますが、全体のおよそ15%はなぜか一度も検査で陽性にならなかったということです。

そこで、この人たちの血液を調べたところ、全員にある共通の特徴がありました。それが「T細胞」と呼ばれる免疫細胞が体内で増えていたことです。

「T細胞」とは、ウイルスに感染した細胞を見分けて、それを集中的に攻撃して排除する性質を持つ免疫細胞の一種で、感染の初期段階でウイルスを排除することができるので、体内でウイルスが繁殖せず、感染を抑制することが可能です。

ただ、T細胞が増えやすいのが、どういう人たちなのかは、まだわかっていません。今後、感染リスクが高いのに感染しない人たちの特徴を調べることなどで、これまでのワクチンとは違う、全く新しいタイプのワクチンの開発につながることが期待されます。

現在、世界中で使われているワクチンは、ウイルスが細胞に感染する際の足がかりとなる“スパイク”部分を体内で作って、本物のウイルスが入ってきた時にブロックする「抗体」を作っておくものです。

重症化の予防には高い効果が実証されていますが、ウイルスが変異すると効果が弱まったり、効果の持続期間が比較的短くなったりするなどの弱点があります。

一方、新しいタイプのワクチンは、抗体を作るのではなく、T細胞を活性化する仕組みです。感染した細胞そのものを攻撃するので、ウイルスが変異したり、全く新しいタイプのウイルスが出現したりしても、効果を発揮する可能性がありますし、寿命も数年単位と、抗体に比べてずっと長いということです。

今回の研究結果について、国際医療福祉大学成田病院・感染制御部の松本哲哉医師は、「新しいタイプのワクチン候補に十分になりうる。これが実現したら、従来のワクチンと組み合わせてブレークスルー感染を防ぐなど、様々な種類のコロナウイルスに対して高い免疫効果を発揮する可能性がある」と評価しています。

こうした新しいタイプのワクチンは、もし実現すれば新たに未知のコロナウイルスが出現したとしても、感染を抑制する効果が期待できるといわれています。将来的には、今、私たちが見ているコロナの風景が全く違ったものになる日も来るかもしれません。

(11月11日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)