子宮頸がん“接種呼びかけ”中止から再開へ
若い女性がかかる割合が高い“子宮けいがん”を予防するワクチンを打つよう、8年ぶりに国が積極的に呼びかけることが、12日に決まります。
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先月、東京都内のクリニックで、女子高校生が“子宮けいがんワクチン”を接種していました。
医師「ちょっとチクッとするよ。大丈夫?」
高校1年生(15)「大丈夫です」
接種した高校1年生(15)
「子宮けいがんになるより、今ワクチンを打った方がいいのではと、自分で判断しました」
厚生労働省によると、子宮けいがんになる女性は、年間およそ1万1000人。毎年、およそ3000人が亡くなっています。
この子宮けいがんを予防できるワクチンをめぐっては、以前、小学6年生から高校1年生の女子が、無料の定期接種対象となりましたが、全身の痛みなど症状を訴える女性が相次ぎ、2013年6月に国からの接種の積極的な呼びかけは、一時中止されました。
その後、各地で、国や製薬会社を訴える裁判も続いています。国が積極的な呼びかけを中止してから、およそ8年。12日、厚労省の部会で「呼びかけ」を再開する方針が了承される見通しです。
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その背景について、専門家は──。
横浜市立大学産婦人科学教室 宮城悦子教授
「世界では検診(受診率)もワクチン(接種率)も進んでくるということで、科学的なデータをもとに接種のメリットが非常に高い」
海外では、検診とワクチンの両方が推奨されているといいます。
実際、海外では10年以上前から接種が進み、およそ100か国で実施されています。今月の医学誌に掲載されたイギリスの最新の調査では、「12歳から13歳の時に、接種対象だった学年では、全く接種していない学年よりも、子宮けいがんになるリスクが87%減った」という結果になりました。
さらに、名古屋市による調査(2018年公表・約3万人回答)では、「体の痛みや倦怠感、過呼吸など、さまざまな症状を経験した人の割合は、接種した人と、していない人で、有意な差がなかった」ということです。
厚生労働省は「接種後の“多様な症状”とワクチンとの関連性は明らかになっていない」と説明しています。
宮城教授は「親に言われて打つのではなくて、大事なワクチンだとお嬢さんが理解した上で打つのが重要だと思っている」と話しています。
11月11日放送『news zero』より。