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解説:子宮頸がんワクチン積極的勧奨再開へ

2021年11月12日 20:07
解説:子宮頸がんワクチン積極的勧奨再開へ

子宮けいがんを予防するためのワクチンについて、12日、厚生労働省の専門部会は、接種の積極的な呼びかけを再開することを了承しました。このニュースについて詳しく解説します。

子宮けいがんはウイルス感染でおきる「がん」で、年間約1万1000人が発症し、毎年約3000人が亡くなっています。このがんの原因となるウイルスへの感染を防ぐためのワクチンが開発され、国は2013年に、小学6年生から高校1年生相当の女性が、無料で接種できる「定期接種」としました。

しかし、接種後に全身の痛みなど様々な症状の報告が相次ぎ、国は、無料の接種は続けるものの、接種の時期に自治体がハガキなどで接種をすすめる「積極的勧奨」を中止していました。症状を訴える一部の女性らが、国などを相手におこした裁判は今も続いています。

そして、中止から約8年たった12日、厚生労働省の専門部会は、この「積極的勧奨」の再開を了承したのです。どうして再開することに踏み切ったのでしょうか。

ワクチンの有効性について、イギリスの最新の論文では、12歳から13歳の段階で接種対象になっていた学年を、約10年後に調べたところ、誰も接種していない学年よりも、子宮けいがんを発症するリスクが87%減ったとしています。

また、名古屋市の調査では、体の痛みや倦怠(けんたい)感、過呼吸などの症状があった割合は、接種した人としていない人で有意な差はなかったということです。

こうした情報をもとに、専門家の部会は、接種を積極的に呼びかけることを了承しました。

ワクチン接種後に、何らかの症状が出ないか心配な人もいると思いますが、相談できる場所があります。

接種後に症状が出た場合、受診できる「協力医療機関」は全国に約80か所あります。ただ、12日の部会では、診療の仕方の研修などについては充実が必要と指摘されました。

また、中止した8年の間に、小学6年生から高校1年生で無料接種の対象年齢を超えてしまった人への接種については、今後、検討されるということです。

ワクチンに詳しい岡部信彦医師は、「急発進の再開ではなく、ワクチンの必要性を理解してもらうため、粘り強く伝えないといけない。接種後の症状があったら、ちゃんと診るサポート体制と、その周知が必要」と話しています。

また、産婦人科医はワクチン接種とともに、検診の必要性も強調しています。

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