10万円給付の行方は…「全額現金」も?
18歳以下への「10万円給付」で、政府は5万円相当をクーポンとする方針ですが、親や自治体からは現金を求める声が相次ぎます。大阪の松井市長は一括支給も求めていますが、政府は否定的。一方、所得制限なしで独自に5万円を支給する自治体もあります。
■母親、10万円「絶対現金がいい」
18歳以下の子どもへの10万円給付について8日、東京・品川区の戸越銀座商店街で取材しました。
3人の子どもの母親(40代)
「(もらえるのは)30万円。大きい額ですけど、意外と習い事とかすぐ消えちゃう額だと思いますね」
政府は年内に現金5万円、来年春をめどに5万円相当のクーポンを給付する方針です。
3人の子どもを育てる別の母親(40代)は「普通に同じだったら、絶対現金の方がいいですよね」と言います。
■クーポン給付なら…「店限られる」
8日夜、東京・北区の「こども食堂あゆみ」に弁当を受け取りに来た、6歳の女の子をもつひとり親の女性に話を聞きました。
子どもからクリスマスプレゼントをねだられているといいます。「子どもは人気のゲームが欲しくて、『クラスで私だけが持ってない』って言い張ってて。でも高すぎて買えないな、って…」
年内に支給される5万円は、年越しの生活費に充てるといいます。残る5万円の行方について、「それがクーポンになるか、現金になるか、ですよね。現金でお願いしたいです」と女性は話しました。
「クーポンだと使う店が限られていたりすると、値段の安いところ、買いたいと思ったところで使えないと意味がなくなって。日々、いろんな所に行って底値で買い物してるので」
■首相、「現金でも可能」と容認
国会でも8日、10万円給付をめぐり論戦が行われました。
立憲民主党の泉代表は衆院の代表質問で、「クーポンではなく現金給付を選択できるようにするべきではないでしょうか。クーポンに分割支給をするだけで、事務費が967億円も余計にかかることが判明しました」と訴えました。
岸田首相は「まずはクーポン給付を原則として検討していただきたいと考えておりますが、地方自治体の実情に応じて、現金での対応をも可能とする運用といたします」と、クーポン給付を現金にすることも可能だと答弁しました。
■首長からも…「現金」求める声続々
一方、大阪市の松井市長が7日に表明した、10万円を年内に一括で給付する案について、松野官房長官は否定的な見解を示しました。
「(現金とクーポンは)それぞれ別の給付措置でありますので、同時に支給することは想定をしておりませんし、まずはクーポン給付を基本として検討していただきたいと考えております」
これに対し松井市長は8日、政府へ明確な対応を求めました。
「それだったらはっきり言ってもらいたいのよ。『現金は認めない』と言うなら、僕も説明します。子育て世帯の皆さんに。われわれに任せてもらうのならば、僕はもう現金(で一括)ですから。それがダメならダメとはっきり言ってもらわないと、準備できないじゃない」
全てを現金で給付したい自治体は、他にもあります。
山梨・富士吉田市の堀内茂市長は「迅速に、早く、かつすぐに役に立つということを大前提に考えますと、スムーズに現金で」
静岡・島田市の染谷絹代市長
「子育て世帯の方々の思い、そして必要なニーズに応えるためには、やはりクーポンよりも現金の方が」
■独自に5万円…「所得制限ナシ」も
4人の子どもを育てるひとり親の佐伯さん(仮名・30)も、現金給付を望みます。
「新しい年が来ると、またどんどん出費も増えていくので、なるべく早い時期に方針を決めていただけたらなと。現金の方がありがたいというのが本音です。子どもが4人いるので、そんなに高い物を買うことはできないですけど」
出費の多い時期を迎えるため、佐伯さんは「冬休みに入るので、休みの間、3食子どもたちが食べるので、毎日。(給付金は)ありがたいなと」
一方、国の支援とは別に独自の策を打ち出す自治体もあります。
茨城・小美玉市を訪ねました。島田穣一市長は「独自に所得制限を設けないで、子どもたちに平等に支給していこうと(考えました)」と言います。
10万円支給の対象として設けられた、「年収960万円」という親の所得制限。この制限に該当し支給対象にならない約200人の子どもにも、一律で5万円を支給することを決めました。
島田市長
「高額所得の人は高額な税金を納めるということになっている。子どもたちに還付されるような形であれば、決して不公平ではなく、公平に行き渡ることだろうと(思います)」
(12月8日『news zero』より)