3回目接種…「交互接種」で効果に違いは?
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種に関して、15日夜、厚生労働省の部会で、モデルナの承認に向けた審議が行われます。これで3回目の選択肢が増えることになりますが、私たちはどうすればいいのか、詳しくお伝えします。
■3回目接種…モデルナワクチンが焦点
まずは、3回目接種のスケジュールをおさらいします。すでに、医療従事者の接種が始まっていて、およそ7万人が3回目接種を完了しています。
そして、原則通り2回目接種から8か月あけるとすると、65歳以上の高齢者は来年1月ごろからになります。64歳以下は来年3月ごろから、3回目が始まるというイメージになりますが、岸田総理は「モデルナを活用して、8か月を待たずに、できる限り前倒しします」と明言していますので、一部の人では、これよりも早まる可能性があるということになります。
モデルナがどうなるか、3回目の焦点となるわけですが、これまで、3回目接種に使うワクチンで承認されたのは、ファイザーだけでした。15日夜、厚労省の専門家部会で、モデルナの承認が了承される見通しで、正式承認されれば、選択肢が増えることになります。
例えば、1回目、2回目にファイザーを打って、3回目にモデルナを打つのを「交互接種」と呼びますが、これはどうなのでしょうか。堀内ワクチン担当大臣は10日に次のように発言しました。
堀内ワクチン担当大臣
「ファイザー社もモデルナ社もどちらも同じメッセンジャーRNA、同じ作り方で作っているワクチンでございますので、交互接種による効果も、同じ種類のワクチンを接種した場合と同様に有効性や安全性が報告されております。つきましては、追加接種を希望される方におかれましては、モデルナのワクチンも検討いただきますよう、改めてお願いいたします」
これまで日本では1、2回目の回数でみると、ファイザーを接種した人がモデルナと比べて「5:1」くらいの比率になっています。これに対して、堀内大臣によると、3回目は配分される供給量がだいたい「6:4」になる見通しです。そのため、3回目はモデルナのワクチンも積極的に検討してほしいと呼びかけました。
3回目接種を進める場合、ファイザーだけでは足りないことは確実です。モデルナが供給されれば、私たちがどちらかを選択するという場面は出てきます。
3回目の接種の流れですが、まずは、2回目の接種を終えた18歳以上の人には、お住まいの自治体から順次、3回目の接種券が送られてきます。そして、自治体のお知らせに従い、接種をする医療機関や接種会場を探します。そして、日時予約をして3回目接種という流れとなります。こうした流れの中でモデルナが供給されていれば、どちらかを選べる可能性があります。
■同じワクチンと交互接種では効果に差はある?
同じワクチンを打った場合と、交互接種で効果に差はあるのでしょうか。
日本では、アストラゼネカを打った方もいらっしゃいますが、多くの方が次の4パターンで3回目を打つことになります。
1回目 2回目 3回目
ファイザー ファイザー ファイザー
ファイザー ファイザー モデルナ
モデルナ モデルナ モデルナ
モデルナ モデルナ ファイザー
厚生労働省が出している資料によると、ウイルスを攻撃する抗体の増え方にそれぞれ違いがありまして、まず、2回目までファイザーの人が3回目も同じファイザーだと20.0倍。3回目が交互接種、モデルナだと31.7倍になります。
2回目までモデルナの人が3回目も同じモデルナだと10.2倍。交互接種でファイザーだと11.5倍になります。
注目したいのはどちらも同じ種類より、交互接種の方が抗体の増え方が大きいです。
この結果を私たちはどうとらえたらいいでしょうのか。国際医療福祉大学成田病院の松本哲哉主任教授に聞いたところ、「10倍まで上がれば、一定の効果はでる」ということです。
その上で、抗体量は多い方がいいのでしょうか。
松本主任教授によると「高い値がのぞましいのは間違いないが、実際の感染や重症化の予防効果が数値にそのまま現れるわけではない」「いいタイミングで打てるのであれば、3回目の選び方にこだわる必要はない」「今後オミクロン株やそれ以外の変異株に備える意味でも、3回目は打っておいた方がいい」とのことです。
■交互接種の場合、副反応は?
ただ、交互接種で副反応はどうなのでしょうか。
まず、結論としては厚労省によると、副反応は1、2回目と3回目を比べると、おおむね同じくらいで、現時点で重大な懸念は認められないとしています。
その上で細かいデータをみると、同じファイザーを3回打った場合と、3回目はモデルナの交互接種では、モデルナの方が関節痛や寒気、発熱や頭痛などがやや多かったという研究もあります。
千葉大学医学部附属病院の谷口俊文医師は「モデルナの方が、副反応が多めという研究もあるが、非常に増えるのではなく、少し増えるととらえてよい」と話しています。
まだ、オミクロン株への効果など、データが出そろっていない部分もありますが、国内で主流のデルタ株に対して、予防を高める意味もあります。タイミングが来たら3回目接種を検討してほしいと専門家も話しています。
(12月15日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)