【#みんなのギモン】「嫌な顔された」「舌打ちされた」 なぜエスカレーターは歩いちゃいけない? これだけの理由

通勤や通学の慌ただしい時間帯、駅などのエスカレーターでつい歩いてしまうという人もいるのではないでしょうか?2021年10月、埼玉県ではエスカレーターを立ち止まって利用することを義務づけた条例が施行。一時は歩く人が減ったものの、再び条例前の状態に戻っているといいます。そもそも、エスカレーターはなぜ歩いてはいけないのでしょうか?取材をすると「歩く人が加害者になるケース」もみえてきました。(報道局 調査報道班 及川光昭)
■都内は“左側”に並んで利用 “右側”は歩く人も…
東京・世田谷区を走る東急田園都市線。午前9時、駅のエスカレーターではこんなアナウンスが…
「危険ですので、駆け上がったり駆け下りたりしないで下さい」
ホームに向かう、下りエスカレーター。利用者が左側に並んで乗っているのですが…
「ダダダダダッ」
空いている右側を多くの人が駆け下りて行きます。
“この電車を逃すと、次の電車は6分後…”。記者もこれまで、急いで電車に乗りたい時など、エスカレーターの右側を歩いてしまうことがありました。
■SNSでは議論沸騰 協会「エスカレーターの歩行は禁止」を呼びかけ
日本エレベーター協会や鉄道事業者などは、つまずいたり転倒したりするおそれから歩行の禁止を呼びかけていますが、SNSではエスカレーターの乗り方をめぐってこんな書き込みも・・・。
「エスカレーターの右側で止まる人なに?歩けよ!」
「エスカレーターの右側で止まるやつのせいで電車逃してキレそう」
一方で…
「右側を歩く人なに?止まれよ!」
「エスカレーターは右だろが左だろがどっちにも立てば良い」
「娘と一緒に並んで立っていたら嫌な顔された」
長年、議論が沸騰するテーマです。
■条例施行も“減らない歩行者” 調査した専門家「ダメだと理解していない」
一部の自治体では条例があります。埼玉県では2021年10月から、エスカレーターは左右を問わず立ち止まった状態で利用することを義務づけた全国初の条例が施行されました。また2023年10月からは、愛知県名古屋市でも同様の条例が施行されます。
埼玉県の条例の導入で効果はあったのでしょうか?大宮駅で実態を調査をした、筑波大学の研究チームはこう語ります。
筑波大学・水野智美准教授
「条例前は、エスカレーターを歩く人は約6割でしたが、条例施行から3か月後には約4割まで減りました。しかし、1年後には再び6割まで増加し、条例の前に戻りつつあります」
条例の施行後も、歩行者が減らない理由については―
「条例前に戻った背景の1つは“条例の慣れ”が考えられます。条例が施行されても罰則はないので、結局、『歩くことがダメなんだ』ということを理解していないのではないのでしょうか」