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“統一教会”解散命令は「慎重に判断」……ナゼ? 過去は「オウム」など2例のみ 閣僚経験者「税制優遇は“絶縁宣言”と矛盾」

2022年10月7日 9:25
“統一教会”解散命令は「慎重に判断」……ナゼ? 過去は「オウム」など2例のみ 閣僚経験者「税制優遇は“絶縁宣言”と矛盾」

いわゆる“統一教会”の宗教法人格を取り消すかどうかについて、政府は後ろ向きの姿勢を見せています。過去に解散命令が確定したのは2例のみで、慎重な理由の1つには刑事事件で有罪判決を受けていないことがあります。ただ疑問や批判の声も上がっています。

■首相「慎重に判断」…2つの理由

有働由美子キャスター
「岸田首相は6日、いわゆる“統一教会”の宗教法人格を取り消す解散命令請求について、『慎重に判断する』と述べました。これは前向きなのか、後ろ向きなのか…」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「基本的には後ろ向きです。宗教法人格を得ていると、税制面などで優遇措置を受けられます。なぜこの取り消しに慎重なのか、理由は大きく分けて2つあります」

「1つは、憲法で『信教の自由』が保障されているから。もう1つは、過去の実績と比べて、ということです」

■これまでは「オウム」「明覚寺」のみ

「これまでに解散命令が請求され確定したのは、オウム真理教(1996年)と明覚寺(2002年)の2例だけです。オウム真理教は地下鉄サリン事件など多くの凶悪事件を引き起こしたことで知られています」

「明覚寺は『先祖を供養しないと不幸になる』などと多額の供養料をだまし取ったとして、教団の幹部らが詐欺の疑いで逮捕されました。いずれも、刑事事件で最終的には有罪判決を受けた団体です」

「宗教法人法には、解散を命じる条件として『刑事事件での有罪判決』を明示しているわけではありませんが、文化庁の宗務課は、これが1つの目安になるという考え方を示しています」

有働キャスター
「そうすると、いわゆる“統一教会”はどうなりますか?」

小栗委員
「民事事件の裁判はありますが、刑事で有罪判決は受けていないこともあり、政府は解散命令の請求には慎重です」

■識者や閣僚経験者から…厳しい意見も

小栗委員
「ただ、4日に消費者庁がオンラインで開いた悪質商法への対策を話し合う検討会では、座長を務める東京大学の河上正二名誉教授から『宗教法人法の活用に対して文科省は消極的な態度を示しており、その姿勢には猛省を促したい』と厳しい意見が出されました」

「また山際大臣や細田衆議院議長など、団体との関係が未だに指摘されている中、自民党の閣僚経験者からは、こんな声も聞かれました」

『自民党がいわゆる“統一教会”と絶縁宣言したことは支持するが、一方で教団について宗教法人として税制で優遇しているというのは矛盾している。それで関係を絶ちますと言っても理解されない』」

■廣瀬さん「オープンで健全な形に」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「僕もNPOをやっていますが、どこからどうお金を得て使うのかを明らかにしないといけません。宗教法人も、もっとオープンであってほしいなと思います。宗教は本来、多くの人を助けられる素晴らしいものなので、健全な形になればいいなと思います」

有働キャスター
「この問題に焦点が当たって3か月近くがたちました。被害者の救済はもちろんですが、新たな被害を生まないために本気で取り組んでいるのかを、私たちは見ています」

(10月6日『news zero』より)