関東大震災から100年 白黒写真の「カラー化」でわかる“リアル” 防災考えるきっかけに…
1923年に発生した関東大震災から、今年でちょうど100年を迎えます。震災後の様子を写した白黒写真(国立科学博物館所蔵)の「カラー化」に取り組む東京大学大学院の渡邉英徳教授は「100年前の大災害をリアルに感じ、近い将来に必ず起きる大災害にどう立ち向かっていくのか考えてほしい」と話しています。
■自分ごとに感じる… カラー化して伝わる震災の“リアル”
有働由美子キャスター
「100年前の東京・日比谷の写真には、多くの人たちが見上げる空に、煙が立ち上がっています。この白黒写真をカラーにすると、実は煙の下で、炎が勢いよく燃えていることがわかります。撮影されたのは、あすで100年となる関東大震災。犠牲者の約9割が火災で亡くなっています。
そしてもう1枚見ていただきたいのですが、倒壊した住宅や住民らしき人が写っていますが、カラーにすると、屋根の部分、瓦などが崩れてむき出しになっていて、人々の周りには道をふさぐくらいにがれきの山ができているのがわかります。廣瀬さん、あらためて見てみて、いかがですか」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「(白黒とカラーと)見比べてみるとこんなに印象が違うんだなと思って、本当に驚きましたね」
■燃え移るスピード 揺れの大きさ… 専門家の“新たな気づき”
有働キャスター
「白黒とカラーで、迫り来るものが全然違うわけですよね。小栗さん」
小栗泉・日本テレビ解説委員
「写真のカラー化は東京大学大学院の渡邉英徳教授が行っているもので、『カラー化することで、過去の出来事でも自分ごとのように感じられる』と話しています。そして、カラーにすることでの『気づき』もあるというんです。
たとえば、先ほどの火災の写真を元気象庁長官の山本孝二氏に見てもらうと、『カラーにすることで、炎が地面をはっている様子が衝撃的だ』『風を巻き込んで燃え移るスピードが速かったのではないか』と指摘しています。
また住宅が倒壊した写真からは、屋根瓦の壊れ具合がカラー化することでよく見えることから『家屋が一瞬で崩れるほど揺れが大きかったことがわかる』といいます」
■過去の教訓からつながる「今の防災」 考えるきっかけに…
小栗解説委員
「このカラー化の意義について渡邉教授は『100年前の大災害をリアルに感じ、近い将来に必ず起きる大災害にどう立ち向かっていくのか考えてほしい』と話していました」
廣瀬さん
「いま、自分たちが生きている環境が、いろいろな歴史を経て存在しているんだなって思って。(そのことを)当たり前に思うのではなくて、感謝して生きていきたいなとあらためて思いましたね。
そして、防災を身につける体験を普段からしておくと、パッと行動できるので、体験会のようなものがあれば、ぜひとも積極的に取り組んでほしいですね」
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有働キャスター
「首都直下地震も、いまこの瞬間に起きてもおかしくないわけです。大切なことは、ご自分の家で地震の時に『じゃあ火災が起きたらどうするのか』と、イメージすることです。たとえば『消火器の使用期限は切れていないのか、使い方は大丈夫だっけ』など、ぜひ命を守る具体的な準備と行動につなげていただきたいと思います」
(8月31日放送『news zero』より)