コロナ禍で来館者減少 窮地の“寄生虫博物館”を救ったのはビル・ゲイツ氏
コロナ禍で来館者が減り、窮地となった“寄生虫博物館”を救ったのは、あのビル・ゲイツ氏でした。
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東京・目黒区にある「公益財団法人目黒寄生虫館」は研究者だけでなく、一般の人にも寄生虫について知って欲しいと、1953年の開館以来、入館無料を貫いています。
公益財団法人目黒寄生虫館 倉持利明館長
「コロナ禍に入って、(来館者は)2020年度には半分」
コロナ禍で来館者が減少し、大事な収入減の1つであるグッズの売り上げが減少しました。
無料を維持するため年間500万円を目標に寄付を呼びかける中、驚きの人物が訪れました。アメリカIT大手・マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ氏です。ゲイツ氏は、途上国での感染症対策への貢献などが評価され、旭日大綬章の勲章を受け取るため来日していました。
公益財団法人目黒寄生虫館 倉持利明館長
「ゲイツ氏にお尋ねしたんですけど、どうしてここに来てくれたの?と。彼の活動に非常に近いものがあると(話していた)」
ゲイツ氏は熱心に館内を見て回った後、自身が力を入れる研究と関わりが深い寄生虫のストラップとボールペンを購入しました。さらに、「東京の目黒寄生虫館を体験した。世界最長のサナダムシとされるものを見た」と自身のSNSに“寄生虫館”のことをアップしたのです。
この出来事は瞬く間に世界中に広がり、一般の人が寄付を呼び掛けたSNSが拡散しました。今年度210万円ほどしか集まっていなかった寄付金は、ゲイツ氏の来館から10日あまりで目標金額の500万円を超えました。
集まった寄付の使い道は――
公益財団法人目黒寄生虫館 倉持利明館長
「お客様を迎えるにあたってのサービスもそうですし、資料標本の収集もそうです。そういったところに使わせていただいて。ありがとうございます」
「無料で寄生虫を学べる場」という開館時の精神を忘れずに、大切に使いたいと話しています。