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“救急車ひっ迫”ことしも過去最多の去年を超えるペースで増加 東京消防庁が「救急車の新たな運用」あすから開始

2023年6月30日 17:16
“救急車ひっ迫”ことしも過去最多の去年を超えるペースで増加 東京消防庁が「救急車の新たな運用」あすから開始
東京消防庁 救急車雑感

87万2075件。

この数字は、東京消防庁での去年1年間の救急車の出場件数で、過去最多を記録した。行動制限の緩和により外出する人が増えたことや熱中症などの影響で救急搬送の要請が増えたことが一因と考えられ、重症者が待つ現場に45分以上かかるなど、救急車の到着が遅れる事態となった。

しかし、ことしは、過去最多だった去年をさらに上回るペースで救急車の出場件数が増加しつつある。東京消防庁は、緊急性の高い通報に迅速に対応できるよう、あす7月1日から新たな救急車の運用方法を導入する。

■救急ひっ迫で…重症患者に救急車「到着まで45分」ケースも

「救急車到着まで少し時間かかります…」去年、東京消防庁の119番通報を受ける総合指令室で、通報者に頻繁に伝えられていた言葉。

行動制限の緩和により外出する人が増えたことや熱中症などの影響で救急車の需要が増加した去年、東京消防庁によると、年間の救急車の出動件数はおよそ87万件にのぼり、過去最多を記録。通報現場の近くに救急車がおらず、到着に時間を要する状況となった。

特に救急要請がひっ迫していた去年7月には、東京都東大和市で重症の80代女性がいるとの通報が入ったが、近くの救急車が活動中だったため駆けつけられず。結果、中野区にいた救急車が向かうこととなり、到着までに45分かかったというケースも発生した。

緊急性の高い救急要請があっても、現場到着に時間がかかってしまう状況をなんとか改善しようと、1日から東京消防庁は新たな救急車の運用を導入する。

■救える命を救う特別部隊「重症対応救急小隊」を新たに設置

通常、東京消防庁では救急車の出動率が80%を超えたときなどには、救急車を増やし対応している。去年も、この運用をしていたが、これをさらに超える救急車の需要が生じていて、緊急性の高い通報に迅速に対応できない状況があった。

そこで1日から設置されるのが「重症対応救急小隊」。これまでも救急の通報が増えると非常用の救急体制を組み、出場する救急車の台数を増やすなどして対応してきた。1日からは“緊急用の救急車”の一部を、呼吸をしていない、脈がないといった緊急性の高い傷病者に優先的に対応する救急車として配置するというもの。

以前は、救急車を増やしても様々な事案に対応していたため、緊急性の高い通報があったときに、結局早く対応できる救急車がいないという状況が生まれてしまっていた。この「重症対応救急小隊」を運用することで、そのような状況を避け、重症者など危険な状況にある傷病者に迅速に対応していこうという狙いがある。

■ことしも過去最多ペースで増加

ことしの救急出場件数は6月25日時点で42万件近くとなっていて、去年の同時期に比べおよそ2万件多く、過去最多だった去年を上回るペースで増加している。

東京消防庁は、「緊急性のある通報に迅速に対応するには、都民の協力が必要」と話す。救急車を呼ぶか迷った場合は、相談ダイヤル「#7119」に相談することや、自分で病院に行くことができる場合は、電車などを利用して、救急車の適切な利用をしてほしいとしている。

加えて、救急車がひっ迫している状況を伝えるために新たに「救急車ひっ迫アラート」をSNSやHPで出し、救急車の適切な利用を呼びかけるとしている。