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“蘇民祭”1000年の歴史に幕へ 祭りの担い手が不足し… 岩手・奥州市

2023年12月5日 20:22
“蘇民祭”1000年の歴史に幕へ 祭りの担い手が不足し… 岩手・奥州市

1000年以上続くとされる祭りが来年、その歴史に幕をおろします。

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五穀豊穣などを願い、旧正月の日に岩手・奥州市で行われる「黒石寺蘇民祭」。下帯姿の男たちが、真冬の凍えるような川の水で身を清めたり、火の粉を浴びたりしながら気勢をあげます。

祭りのクライマックスは、夜明けまで続く「蘇民袋」の争奪戦。「蘇民袋」を奪った者の土地は、五穀豊穣が約束されるといわれ、男たちは3時間にも及ぶ激しい奪い合いを繰り広げます。

その蘇民祭が高齢化と祭りの担い手不足を理由に、来年を最後に幕を閉じることになったのです。

妙見山黒石寺 藤波大吾住職
「祭りの中心を担う関係者の高齢化、将来的な担い手不足。お祭り自体をこれまで通りの形で維持していくことが、かなり困難な状況」

蘇民祭の名が全国に広まったきっかけの1つが、2008年のポスターです。

ヒゲをたくわえ毛深い男性がひときわ目を引くデザイン。その後ろには下帯姿の男性が密着して並んでいますが、不快感を与えるおそれがあるとして、JRが駅への掲示を断ったことで話題になったのです。

妙見山黒石寺 藤波大吾住職
「(蘇民祭の)派手な部分がクローズアップされるが、祭りの内側、かなり多くの儀式・準備がある。(地域の中で)できる人は限られている。できる人がいなくなると、祭りとして違うものになってしまう」

来年2月に迎える最後の蘇民祭。再来年以降は、祈とうなどを行うだけになるということです。