大雪もたらす“JPCZ”観測…大気の川のように「水蒸気集まる」構造と判明 三重大など
日本海側を中心に大雪をもたらすJPCZ(=日本海寒帯気団収束帯)の構造とメカニズムを探ろうと、三重大学などの研究グループが洋上でおこなった観測で、大気の川のように水蒸気が集まる構造になっていることが分かりました。今後、JPCZの予測精度向上に役立つことが期待されます。
JPCZは大陸から吹く冷たい風が、朝鮮半島の北側にある高い山でいったん2つに分かれた後、日本海で再び合流した時に発生、長さ数百キロメートルにおよぶ帯状の雪雲は、日本海側を中心に、短時間に大量の雪を降らせるため「線状降雪帯」とも呼ばれています。
先週末から新潟県などでは、このJPCZによって記録的な大雪となり、車の立ち往生などが発生しました。
三重大学の立花義裕教授などの研究グループは今年1月、島根沖で発生していたJPCZの雪雲の下を船を使って横断し、1時間ごとに気球を飛ばして、上空の気温や湿度、さらに海水温の観測に初めて成功したということです。
立花教授によりますと、この観測結果からJPCZは日本海の比較的暖かい海面から蒸発した大量の水蒸気が集まり「大気の川」のような構造になっていたということです。
また風下に移動するとともに、さらに大量の水蒸気が集まり、雪雲を発達させていることが分かったといいます。
JPCZ中心部の雲の高さは、およそ3.5キロあり、平均的な雪雲のおよそ2倍の高さまで発達していたということです。雲頂高度が高いほど、大量の雪を降らせる可能性があるといいます。
また、JPCZに集まる水蒸気量は海面水温がおよそ10度の場合、7時間で1メートルあまりの大雪を降らせる量に相当することが分かりました。
そしてJPCZは一度発生すると持続する性質があり、寒気が弱まったとしても、しばらくは雪を降らせることができるということです。
立花教授は海水温がJPCZの発達に与える影響について注目していて、今後も観測を続けて予測精度の向上につなげていきたいとしています。