火災から3年…首里城「正殿」の再建工事始まる 引退していた大工が参加“経験と技術を後世に”
沖縄・那覇市の世界遺産「首里城」で、3年前の火災で焼失した正殿の再建工事が始まりました。約30年前の“平成の復元”にも参加した大工の1人が、今回の再建にも参加します。年齢を理由に一線を退いていましたが、経験や技術を伝えて欲しいと声がかかったのです。
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「文化の日」の3日は、沖縄の「文化」と「歴史」を取り戻す大事な1日となりました。那覇市の世界遺産「首里城」の正殿再建に向けた工事が3日から本格的に始まったのです。
これに先がけて行われたのが、琉球王朝時代に「城」を建て替えた際の伝統祭事を再現した「木遣(きやり)行列」です。正殿の再建に使われる「御材木」が披露されました。
地元の人
「きちんと再建されたら、うれしく思いますね」
「言葉にならなくて、胸がいっぱいです」
“沖縄のシンボル”首里城が失われたのは3年前です。未明に発生した火災により、火元の正殿など9つの施設が焼失しました。
首里城が燃える様子をみつめていた人は――
「“沖縄のシンボル”がなくなる」
多くの県民が涙を流しました。それでも、前向きな声が聞かれました。
「戦争で(首里城が)焼失して、県民はこれから立ち上がっていったんですよね」
再建に向け沖縄は立ち上がり、国内外からの寄付金などをもとに再建計画が進行しました。(正殿の総工費約120億円のうち約24億円が寄付金)
今回、その再建を託された1人が沖縄の大工、外間義和さん(80)です。かつて首里城の修復に使った特注のノミを見せてくれました。
大工 外間義和さん(80)
「(このノミは)沖縄にないんですよ。大事にしてよかった」
約30年前の“平成の復元”にも参加し、“正殿完成時には大工仲間と涙を流した”と話します。3年前に年齢を理由に一線を退きましたが。直後に、首里城の火災が発生。
大工 外間義和さん(80)
「(3年前)テレビつけたらこれじゃない。声も出なかったですね。声出すと涙が出てくる」
今回、正殿の再建に向け、「経験や技術を若い大工に伝えてほしい」と声がかかり、引き受けることを決めたのです。
――もう一度使う日がくるとは?
大工 外間義和さん(80)
「思ってなかった。最後まで皆さんの(期待に)こたえられるようがんばりたいです」
正殿は2026年度に再建予定です。