「ちょっとやせたい」ダイエット目的はNG……肥満症向け30年ぶり新薬「ウゴービ」の注意点 副作用や“メンタルへの影響”も
該当する持病がある肥満症の人に投与することで食欲を抑制し、体重を減らす新薬が発売されました。自由診療では保険適用の場合と違って制限がなくなるため、ダイエット目的で使用されることが懸念されています。副作用のリスクにも注意が必要です。
「22日、国内で30年ぶりに新たに発売された薬があります。肥満症の治療薬『ウゴービ』です。どんな薬なのでしょうか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「肥満症の中でも、当てはまる病気のある人に投与することで食欲を抑制し、体重を減らす薬です」
有働キャスター
「お腹の周りが気になるなどの肥満ではなく、あくまでも肥満症の方の治療に使うものということですよね」
小栗委員長
「そうです。そもそも肥満と肥満症は何が違うのか。日本肥満学会の基準によると、体格指数(BMI)が25以上だと肥満。この肥満に伴って高血圧など健康を脅かす合併症がある、またはそのリスクが高い場合に初めて肥満症と診断され、医学的な治療の対象になります」
有働キャスター
「やせたいと思っている人がダイエット目的で使おうとしてしまうのではないかと思ってしまいます」
小栗委員長
「その点、専門家も懸念しています。日本肥満学会理事の神戸大学大学院・小川渉教授によると、保険適用の場合は肥満症であっても食事制限で治療ができている人は使用できないなど、さまざまな制限があり、ダイエット目的では処方されません」
「ただ、自由診療の場合はこうした制限がなくなるため、ダイエット薬として使われる可能性は否定できないということです」
有働キャスター
「同じような話が、糖尿病の治療薬でもありましたね」
小栗委員長
「自由診療でトラブルが増加しているとして、国民生活センターも注意喚起していました」
「厚生労働省はこの経験を踏まえ、今回のウゴービについて2つの課題を挙げて適正な使用を呼びかけています。1つが、必要な患者に薬が行き渡らないことが懸念されるということ。もう1つは副作用です」
小栗委員長
「小川教授は『ウゴービは消化器に影響するため、吐き気や下痢、便秘などの副作用が出たり、食欲を抑えるのでメンタルに影響を及ぼす可能性もある』と指摘しています。また、肥満の程度が低いと副作用がより強く出る可能性もあるといいます」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「副作用のリスクがある中で、ちょっとやせたいという気持ちで薬を使用することがあると危険だなと思いました。処方する医師側のモラルも問われます。薬が大事な人には使ってほしいですが、運動や食べ物に気をつけるなどで予防していくのも大事かなと思います」
有働キャスター
「簡単にやせられる薬ではなく、副作用の恐れがある治療薬です。重病や命のリスクがある方が待ち望んだ薬だと思いますので、国も製薬会社もしっかりとした体制で、患者さんに届けてほしいです」
(2月22日『news zero』より)