“売り手市場”就活解禁 「待つ採用ではもう成功しない」……企業がオファーの“逆求人”が定番に 就活生「3人に1人」が利用
来年3月に卒業予定の学生を対象にした採用活動が1日、解禁されました。説明会では多くの学生が列をなしました。学生優位の売り手市場となり、企業側がアプローチする「逆求人」の利用が増えているといいます。実際に利用したメーカーに取材しました。
■説明会に学生「大行列」…本音は?
来年3月卒業予定の大学生らを対象にした採用活動が1日、解禁されました。都内で開かれた「マイナビ就職EXPO」には約520の企業が出展し、約4300人が来場してにぎわいました。説明のモニターが見えないほど立ち見の学生であふれているブースもありました。
就活で何を重視するのか。大学3年生に本音を聞いてみました。
「勤務地だったり、転勤があるとか、初任給とか」
「自分のスキルアップにつながるところを探しています」
「休みが多い会社に行きたいです」
■高まる採用意欲 学生優位の市場に
「マイナビ2024年卒企業新卒採用予定調査」によると、少なくとも約3割の企業が新卒採用を増やすと答えました。新型コロナウイルスが落ち着き、経済が回復傾向にある中、企業の採用意欲も高まっています。
マイナビ編集長
「より採用する側が厳しくなる調査結果も出ているので、(学生優位の)売り手市場と言っていいと思います」
■「逆求人」企業からのメッセージは?
ある大学3年生がスマートフォンの画面を見せてくれました。学生からではなく、企業側からアプローチする「逆求人」のサイトです。学生は「PRできるところを書いて、企業がマッチしていると思ったら、連絡いただけます」と説明します。
野球部で頑張っていることをアピールしていたため、企業からは「ご自身が一生懸命になってきたスポーツ。この分野で社会をより良くする仕事に興味はありませんか?」などとメッセージが届きました。
学生は「自分の軸を大切にして(就活が)うまくいくことを願って頑張ります」と抱負を語りました。
■「やりがい知れた」…学生側にも利点
逆求人は、就活生の間で定番になりつつあるといいます。
逆求人サイトの「Offer Box」では登録企業が年々増加し、今年1月末時点で1万3335社に上ります。学生の登録数も増えていて、去年(2023年卒の学生)は就活生の約3人に1人が利用したといいます。
この採用を去年から始めた、業務用厨房機器メーカー「中西製作所」の採用担当は「当社はBtoB(企業間取引)の会社で、学生さんの知名度がすごく低いです。1年前に(求人サイトの)エントリー者数が(例年の)3分の1に下がりまして…」と明かします。
そこで去年は、11人中6人を逆求人で採用しました。求める人材を企業側が探せるだけでなく、学生にもメリットがあるといいます。
採用担当
「(内定者からは)『こういった仕事のやりがいがあるんだ』『福利厚生が充実しているんだと知れて良かった』と(いう声がありました)。待つ採用では、もう採用は成功しないなと」
(3月1日『news zero』より)