【解説】「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」運用開始へ 対象地域は? どう行動したらいい?
内閣府などは、日本海溝と千島海溝沿いでマグニチュード7クラスの地震が起きた場合に、その後の巨大地震の発生に注意を呼びかける「後発地震注意情報」を、12月16日から運用開始すると発表しました。この「後発地震注意情報」とは、どのような情報なのでしょうか。社会部災害担当・中濱デスクの解説です。
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日本海溝と千島海溝は、北海道から岩手県にかけての沖合にあるプレートの境界です。プレート境界ということで、地震が起きやすい場所、そして、これまでも大きな地震が繰り返し起きている場所です。
このエリアで、マグニチュード9クラスの巨大地震が発生した場合、北海道で最大震度7、北海道から千葉県にかけての太平洋の沿岸で、高さ3メートル以上の大きな津波が到達すると予想されています。
被害想定では、冬の深夜に巨大地震が発生した場合の死者数は、日本海溝沿いで地震が起きた場合、約19万9000人。千島海溝沿いで地震が起きた場合も約10万人と、東日本大震災をはるかに上回る死者数が想定されています。また、全壊する建物の数は、日本海溝沿いの地震で約22万棟、千島海溝沿いの地震で約8万4000棟と想定されています。
この甚大な被害を減らすために、来月から出されるのが「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」ですが、どうしてこうした情報が出されるのでしょうか。
日本海溝沿いの三陸沖で発生した2011年の東日本大震災では、2日前の3月9日にマグニチュード7.3の地震が発生。2日後の3月11日にマグニチュード9.0の巨大地震が発生しました。
さらに、1963年には千島海溝付近の択捉島南東沖で、マグニチュード7.0の地震が発生したわずか18時間後に、マグニチュード8.5の地震が発生しています。大きな地震が起きた後、さらに、大きな地震があまり時間を置かず、立て続けに起きています。
「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」は、“次の地震があるかもしれない”と注意喚起を行うのです。マグニチュード7クラスの地震の発生から約2時間後に、内閣府と気象庁が一緒に会見を開いて発表し、注意喚起を行います。
注意情報の対象地域は、北海道から千葉県まで7道県182の市町村です。都道府県全体ではなく、市区町村ごとに出されます。この地域は、最大クラスの地震が起きた場合に震度6弱以上の揺れ、または、3メートル以上の津波が想定される場所です。
情報が出た場所では、どのように行動したらいいのでしょうか。
「北海道・三陸沖 後発地震注意情報」では事前に避難する必要はありません。ただ、最初の地震が起きてから1週間程度は、さらに大きな地震の発生に備え、日常生活はしながら、「すぐに避難できる準備」をするよう呼びかけています。
例えば――
■すぐに避難できる態勢での就寝
すぐに逃げられる服装で寝る
避難に時間がかかる子どもや高齢者と、同じ部屋で寝る
■避難グッズを近くに
寝るときは、避難グッズを枕元に置く
この地域は雪が多く厳しい寒さとなるため、冬の場合は「防寒具」なども準備する必要があります。
日本海溝・千島海溝沿いは大きな地震が多く発生する場所で、2年に1回程度はこの情報が出る可能性あります。情報発表の有無にかかわらず、普段から地震に備えておくことが大切です。