「中華まん」にも値上げの波 小麦粉や豚肉に“あの紙”も…
寒くなるこの時期に恋しくなる中華まんにも値上げが直撃しています。生地や具材だけでなく、中華まんには欠かせない“あの紙”にまで影響が出ています。
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冬のささやかなぜいたく「中華まん」。コンビニチェーン「ミニストップ」では、今年は特に製法と具材にこだわっています。
定番の「本格肉まん」は、ひとつひとつを手包みにすることで生地をふんわり食感にしています。「トリュフ香るピザまん」には、トマトソースのアクセントとしてトリュフ塩を使用し高級感を意識。新作の「ねぎ塩肉まん」は香り高い九条ネギと、甘みのある深谷ネギ2種類を使い、隠し味に岩塩を合わせることで“肉のうまみ”を引き立たせたということです。
肉まんやピザまんは、去年より10円販売価格を上げ、いずれも150円となっていますが…
ミニストップ 広報担当・岡啓介さん
「価値を提供して、適正な価格で設定した。こだわりの食材を使って、いいものに仕上がっている」
“こだわり”をたっぷりと詰め込んでおり、少し高くても売れると“自信満々”です。
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一方、変わらぬ味を守るため、東京・江東区にある点心の専門店「上海肉まん」は苦渋の値上げに踏みきりました。店名どおり名物は具がぎっしり詰まった「肉まん」ですが、3年前に130円から150円に値上げしていました。
そして今年、本格的な冬を前に小麦粉や豚肉など肉まんに欠かせない食材が軒並み高騰しています。
上海肉まん 李岩さん
「小麦粉と肉とタマネギ。(小麦粉は)20%上がった。豚肉は28%くらい」
肉まんを蒸すガス代など経費の負担も増えているため、先月から肉まんを150円から180円に値上げしたのです。
また、あまり目立たないものの、店にとってジワジワと“痛手”になっているのが、“あの紙”です。
上海肉まん 李岩さん
「(肉まんに)使う紙は10%上がっている。大変です」
肉まんを蒸し上げる際に下に敷く紙の仕入れ値も、上がっているというのです。
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そもそも、この紙はいったい何という名前で、どういうものなのか、日本では数少ないというこの紙の製造元に話を聞きました。
王子エフテックス・食品メディカル営業部 山田英喜さん
「普通の紙に中華まんをのせると、紙に生地がくっついてしまいますが、グラシン紙は紙に生地がくっつかない特徴をもたせています」
表面がツルツルしているため、中華まんづくりに重宝されている、その名も「グラシン紙」です。コンビニの中華まんの底にくっついている丸いあの紙もグラシン紙です。
王子エフテックスでは、この“グラシン紙”を今年5月に15%値上げしており、来月も15%値上げします。背景にあるのは――
王子エフテックス・食品メディカル営業部 山田英喜さん
「紙の原材料となるパルプ、こちらが北米を中心に輸入品を多く使っているんですが、円安の影響が非常に強くなっています。この製品40年以上にわたって生産しているものですが、過去、年に2回値上げしたということは初めてだと思います」
ウクライナ情勢でもともと輸送コストが上がっている上、急激な円安で原材料が高騰していることが値上げの理由だということです
ちなみにこの“グラシン紙”は、家庭用のクッキングシートなどにも使われているため、今後影響の広がりが懸念されます。