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“第8波”不安でも……年末年始は「行動制限」ナシ 背景に「BA.5」とワクチン 官邸関係者「社会経済活動の維持を優先」

2022年11月10日 10:53
“第8波”不安でも……年末年始は「行動制限」ナシ 背景に「BA.5」とワクチン 官邸関係者「社会経済活動の維持を優先」

東京の新型コロナウイルス感染者数は増えていますが、年末年始の行動制限は行われないことになりました。背景には主流株や感染状況の変化があります。オミクロン株対応のワクチン接種率は低いものの、政府は“第8波”を乗り切れるか見極める構えです。

■東京で再び増加も…政府「制限ナシ」

有働由美子キャスター
「東京都の新型コロナの新規感染者数について、9日は9012人となり、1万人に迫っています。再び増加傾向になっていますが、松野官房長官は同日、『新たな行動制限は行わない』との認識を示しました」

「この2年、年末年始にかけては会食も旅行も『慎重に』と呼びかけられてきましたが、今年はこうした呼びかけもありません」

■“第6波”と“第7波”の違いは

小栗泉・日本テレビ解説委員
「一口に『新型コロナ』と言っても、以前とは変わってきているためです。厚生労働省の専門家会議・アドバイザリーボードで9日示されたデータでは、今年1~3月の“第6波”と同7~9月の“第7波”の違いが分かります」

「第6波の主流はオミクロン株の『BA.1』や『BA.2』でしたが、第7波は今と同じ『BA.5』でした。東京都の感染者数(累計)を比較すると、第6波が84万3165人、第7波が147万9005人で、第7波の方がかなり多いです」

「その一方で重症者数(累計)では、ワクチンの効果もあって第6波が3749人、第7波が2348人と、第7波の方が1000人以上少なくなっています」

有働キャスター
「今主流のBA.5の方が、感染しても重症化する割合が少ないということですね」

小栗委員
「しかも、第6波の時はまん延防止措置が出ている地域もありましたが、第7波では行動制限はありませんでした。感染拡大当初からコロナ対応にあたる昭和大学病院の相良院長は『この2年で使える薬もでき、治療の方向性を早く出せるようになった』と言います」

「官邸関係者は『第7波の時も行動制限はかけなかった。今回は行動制限よりも、社会経済活動の維持の方が優先度が高い』と話しています」

■官邸関係者「どこまで接種率伸びるか」

有働キャスター
「ただ年末年始に何も気にしなくていい、というわけではないですよね」

小栗委員
「そうですね。官邸関係者は『忘年会などの会食は大人数でしない、パーテーションを置くなどのお願いはしないといけないかもしれない』としながら、今回はワクチンと基本的な感染対策でなんとか乗り切りたい考えです」

「ただこのワクチンについて、オミクロン株対応の接種率は全国で7.8%にとどまっていて、ある官邸関係者は『今月中にどこまで接種率が伸びるかが勝負』と話しています」

有働キャスター
「そもそも新型コロナの病気としての位置づけを変える、とはならないのでしょうか?」

小栗委員
「まずは行動制限をかけず、今後来るとされる第8波を乗り切れるか見極めたいようです。相良院長は、新型コロナの患者が増えて再び病床数を上回ったとして、『行動制限をかけないのであれば、1人1人が今以上の感染対策を心がけてほしい』と呼びかけています」

■辻さん「最大限の対策を前提に」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「年末年始の帰省は、1年に1回しか会えない人、それこそ『あと何回会えるかな』という人にも会ったりすると思います」

「『いつかまた、(新型)コロナ明けたら』の『いつか』が実現しないこともあるかもしれないと思うと、会えるうちに顔が見られるのは、とても嬉しいことだなと思います」

「ただ当然、『行動制限なし』は心配や対策が必要ないということではなく、むしろ最大限、感染対策をする前提のものということも忘れてはいけないなと思います」

有働キャスター
「私たちもできることはしなくてはならないと思いますが、本当に心配なのは医療ひっ迫で、第7波でも救急車が来なくて大変なことになりました。同じことを繰り返さない対策を、しっかりお願いしたいです」

(11月9日『news zero』より)