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高速ジェット船“一時漂流” 出航前“問題なし”も運航中に“油もれ”…なぜ?

2024年7月24日 20:49
高速ジェット船“一時漂流” 出航前“問題なし”も運航中に“油もれ”…なぜ?

24日午前、千葉県房総半島沖で伊豆諸島に向かっていたジェット船が、トラブルで自力航行ができなくなりました。伊豆大島に向けて、巡視船がえい航していますが、港に到着するのは24日夜から25日の朝になる見込みだということです。

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24日正午ごろ、千葉県房総半島の南西、約17キロの海上を漂流していたのは、乗客乗員121人を乗せた東海汽船のジェット船「セブンアイランド愛」です。激しい揺れが、船を襲っていました。

海上保安庁によると、事故があったのは午前9時ごろ。

船長
「舵(かじ)がきかない」

ジェット船は東京・竹芝を出発し、伊豆諸島の式根島へと向かい、その後、新島へと向かう予定でした。

透き通った海が広がる伊豆諸島は、まさに今が観光のベストシーズン。連日、多くの観光客が訪れていますが、今回向かっていたジェット船は、千葉の南の海上で漂流する事態に…

今回事故があったジェット船は午前7時45分、東京・竹芝を出発。通常のルートを沿うように、順調に進んでいましたが、出発から約1時間半後、千葉近くの沖合で突然、船のスピードが落ち、漂流が始まりました。

海上保安庁によると、ジェット船は油がもれたことでかじがきかなくなり、自力航行不能になったということです。

漂流から約3時間後、現れたのは海上保安庁の巡視船。すると、ジェット船の乗組員たちが船の外へ。巡視船とつながったロープを、懸命にたぐりよせます。そして…

記者(24日 午後0時半ごろ)
「海上保安庁の船に引っ張られ、少しずつ動き出しました」

ようやく漂流を逃れたジェット船。巡視船に引っ張られ、伊豆大島を目指します。ジェット船は、移動の際も激しい揺れに襲われました。116人の乗客(子ども4人)は大丈夫なのか…

窓際のカーテンと、座っている人影のようなものは見えるものの、なかなか中の様子を確認することはできません。

船内は空調は効いていて、トイレも使える状態。けが人の情報は入っていませんが、10代男性、20代女性、40代女性の乗客3人が体調不良を訴えているといいます。

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移動開始から約20分経過した午後1時前。

記者
「止まりました」

突然、船が止まりました。巡視船が、ジェット船に近づきます。

すると…、海上保安官がジェット船へ飛び移りました。その後も、激しい波の中、隙を見て飛び移ります。そして、ジェット船の先頭へ。乗組員とともに、再びロープを引っ張っていました。

海上保安庁によると、海がしけている影響で、一時、作業がストップ。移動に遅れが出ているといいます。

24日の出航前の整備・点検で問題がなかったというジェット船「セブンアイランド愛」。なぜ運航中に突然、油がもれたのでしょうか。専門家は、考えられる理由として…

海難事故に詳しい東海大学海洋学部 山田吉彦 教授
「セブンアイランド愛は44歳、かなり老朽船。なかなか気付かない傷み・傷が航行中に一気に拡大してしまったと考えられる。検査では見逃してしまう、本当に小さな傷が拡大してしまった」

老朽化による傷が、油もれにつながったのではないかと指摘します。さらに、この船が漂流した場合…

東海大学海洋学部 山田吉彦 教授
「一般の船よりも、漂った時にすごく揺れる。正直ひどく揺れる状態」

揺られ続けている乗客。止まっていたジェット船は、午後4時ごろから再び動き始めました。

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大島町役場などによると、目的地の伊豆大島では東海汽船によって、乗客全員分の宿(7つのホテル)が手配されているということです。ジェット船は、24日夜から25日朝に到着する見込みです。