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【NNNドキュメント】プロなのに…奇跡的に助かった潜水士が語る津波の恐怖と教訓 〜東日本大震災14年 私たちのあの日~ 宮城 NNNセレクション

2025年3月22日 4:34
【NNNドキュメント】プロなのに…奇跡的に助かった潜水士が語る津波の恐怖と教訓 〜東日本大震災14年 私たちのあの日~ 宮城 NNNセレクション
『甘く見ていた…プロなのに…』
東日本大震災から14年。被災したその人にしか語れない“言葉”がある。今も大切にしているモノ、忘れられないひと言、目にした光景などとともに深く刻まれたあの日の証し。そして、言葉は“メッセージ”へと変わり始めている。

「誰かいる! やだ、人!人!」

【あの日の記憶:甘く見ていた…プロなのに…】

宮城県東松島市。

安倍さん
「津波を見てから逃げるという。あってはならないっていうか、してはならないような状態で、逃げることになったんですけど…」

「安倍淳、65歳です。海に関わる仕事の中でも、潜水という水の中に入る仕事です」

潜水士として、震災前から水難事故の怖さを伝えていた安倍さん。あの日は、吉田川の近くにいました。

安倍さん
「事務所の中で、事務仕事をしていました」

地震の直後、川の様子を見に行ったことを後悔しています。

安倍さん
「津波が来る時には、川の水がなくなるんだと聞いていたんですね。私もそういう風に思い込んでいたので、隣近所の人と2人で川を見に行きました」

その時は穏やかでした。しかし、地震の1時間後……。安倍さんは事務所へ逃げ込みますが、津波は建物を丸ごと押し流しました。

視聴者映像
「誰かいる。人!人! 誰かいるよ」

安倍さんは、妻と一緒に逆流する川の中に。津波から命を救ったのは。

安倍さん
「船舶脱出用、非常用のイマ―ションスーツといいます。これをまず最初に、妻にポンっと投げてやったんです。足を通しておへそまで上げた瞬間に、自分は水の中に落ちていて。妻はすっかり私が着させていたので、一切、濡れることなく。私は(着用が)半分だったので、水を全部(かぶって)水だらけです」

スーツのおかげで、体が浮いて助かりました。

安倍さん
「自然現象から何から、すべてを学ぶことが(仕事上)重要なので、(海や川の)大方のことは知っているつもりでいました。時速20キロ程度はあったんではないかな。ゆっくり流れていきましたよね。意識はほとんど、もうろうとしていました。低体温になって、ガタガタで、何にもしゃべれない状態だったので」

安倍さんは震災の後、低体温症のリスクを伝える活動に取り組んでいます。安倍さんが伝えたい想い。

安倍さん
「思い込みにとらわれないでください。私は、海のことを何でも知っていると思っていました。ところが、3月11日のあの日、私は津波から逃れることができませんでした。津波は恐ろしいです。皆さん、避難指示が出たら、素早く逃げてください。津波をなめたらいけません」

身をもって経験した、死の恐怖。大切な人を奪われた悲しみ。未来のために、“私たち”にしか伝えられない想いがあります。

2025年3月9日放送 NNNドキュメント’25『3・11大震災シリーズ(107) 東日本大震災14年 私たちのあの日~紡がれる記憶 伝えたい想い~』をダイジェスト版にしました。
最終更新日:2025年3月22日 5:13
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