避難者を守った被災地の「のと里山空港」 空港スタッフが一時避難所として運用 巨大地震がきたらセントレアはどう動く…?
能登半島地震では、空港が「自立した」避難の場としての機能を発揮しました。ひとたび震災が起きれば大勢の帰宅困難者を抱えることになるのが、東海地方のセントレア。その時、どう動くのでしょうか。
避難者を守った被災地の空港 物資不足のなか「ここが一番恵まれている」
元日の地震で震度7を記録した石川県輪島市にある「のと里山空港」。発災から4日目、傷ついた空港の中では、地震で悪くなった道に足をとられてケガをしてしまった高齢の男性を、空港スタッフが手当てしていました。
「のと里山空港」は、被害が深刻だった奥能登と金沢市の間に位置していることもあり、飛行機に乗る予定だった人だけでなく、空港に逃れてきた人の姿もありました。荷物を受け取る場所で一夜を明かしたという人などもいて、空港が臨時の避難所になっていたのです。
その運営はスタッフが担っていました。出勤可能なスタッフが1日から出てきて、協力しながら一時避難所的な運用をしてきたといいます。
また、能登半島地震では交通網の寸断で激しい渋滞が起き、物資を届けるのが極度に難しくなりましたが、「のと里山空港」は、他の避難所と比べると恵まれていたといいます。自家発電で電気が使え、トイレも流れる状態。非常食などの備蓄もあり、最大で500人以上を受け入れていました。
空港が一時的な避難の場として機能したのです。
巨大地震がきたらセントレアはどう動く? 8700人分もの非常食を常備するなど万全な体制を目指しているが…
もし巨大地震がきたら、東海地方の空の玄関口セントレアは、どう対応するのでしょうか。
空港内のとある場所にあったのが、実に8700人分もの非常食。空港利用者のピーク時を想定した人数の3食×3日分を常備していました。海上にあるセントレアは、大震災が起きれば孤立する可能性もあり、大勢の帰宅困難者を抱えることになります。毛布、簡易トイレ、水、おむつなどだけでなく、エアベッドもありました。
停電時には、非常電源に切り替わるようになっていますが、万が一のために、発電機の用意もされています。避難者が待機する場所についても、出発ロビー全域を滞留する場所として利用する予定で、滞留場所は10カ所以上用意しているといいます。
万全な体制を目指すセントレアですが、賞味期限のある備蓄品では、赤ちゃんのミルクなどを揃えるための課題もあるとして、今後も災害対策の準備を強化するとしています。
十分な備蓄があるセントレアですが、本来は緊急避難所ではありません。セントレアは国際的な物流拠点であることから、支援物資などの物流をマヒさせないため、地震が起こったら24時間以内に空港としての機能を復旧し、72時間以内に被災者を退避させる計画となっています。
いつ、どこで被災するか分からないことを改めて示した元日の震災。いざという時、セントレアは頼りになる場所ではありますが、避難所になるというわけではなく、空港にいる人たちを速やかに返して、空港としての機能を回復させることが最優先となるようです。