×

「アメリカファースト」強調するトランプ新大統領 一律関税なら東海地方の企業も影響必至 活路は“ジャパンクオリティー”か…?

2025年1月22日 12:58
「アメリカファースト」強調するトランプ新大統領 一律関税なら東海地方の企業も影響必至 活路は“ジャパンクオリティー”か…?
トランプ氏就任で東海地方の企業も影響必須か…?

4年ぶりの返り咲きで、第47代アメリカ大統領に就任したトランプ氏。就任演説では、アメリカ第一主義を実現させる強気な発言を連発し、「関税をかけて国民を豊かに」と話しました。カナダ・メキシコには2月から25%の関税をかける大統領令に署名し、就任前には「諸外国にも一律で関税」との考えを示していたなか、東海地方の企業はトランプ氏の就任をどう受け止めていたのか、取材しました。

一律関税なら痛手でも…求められる“ジャパンクオリティー”

関税には複雑な立場だという愛知県西尾市の企業を訪ねました。

「業界としては(一律関税は)プラスでもマイナスでもある」と語るのは、西尾市の名産“抹茶”を大正時代から作る老舗メーカー「葵製茶」の榊原さんです。

抹茶は、日本食ブームや健康志向の高まりもあってアメリカで大人気。アメリカへの農林水産物の輸出額第3位が緑茶で、その多くを抹茶が占めています。

一方、トランプ大統領は就任前、すべての貿易相手国に一律10~20%の関税をかけると発言していて、日本製品も例外ではない可能性があるのです。

葵製茶 企画営業部 榊原慶成さん:
「抹茶の一番の輸出先はアメリカになりますので、輸出先の需要が減ってくるのは業界としても大きな痛手」

こちらの会社では、輸出用の商品を20年前から販売していて、今では全体の売り上げの約3割をアメリカへの輸出が占めるほどに。

アメリカの一律関税によって抹茶の需要が減るおそれもありますが、諸外国との競争には負けない自信があるといいます。

葵製茶 企画営業部 榊原慶成さん:
「中国だとか韓国もお茶の栽培はしているが、海外のお客さまから『やっぱりジャパンクオリティーの抹茶が欲しい』と言われておりますので、日本以外の地域で競合するという危惧は今のところ抱いておりません」

トランプ氏の関税政策は好機となるか…金型メーカーの戦略

一方、トランプ大統領の就任を歓迎しているのが、名古屋市緑区にある従業員40人ほどのモノづくり企業「ナゴヤダイス」。

造っているのは自動車部品の金型です。金型とは、鉄などの材料をプレスして、形を変形させて部品をつくる金属の型のこと。アメリカをはじめ海外7か国と国内にある約170社もの自動車部品メーカーと取り引きしています。

12年ほど前にインドネシアにも進出していますが、1期目のトランプ大統領が中国からの輸入品の関税を上乗せした影響で、インドネシア工場のアメリカ向けの金型輸出が倍に増えるという、思わぬ恩恵を受けたといいます。

アメリカの自動車部品メーカーが、金型の発注を中国より安いインドネシアへ振り替えたためだとみられています。

2期目のトランプ大統領が、メキシコやカナダからの輸入品に25%の関税を課す考えを示したことについて、山口社長は…

ナゴヤダイス 山口真人社長:
「メキシコに高い関税がかかった場合は、アメリカ向けの金型を作っている日本の工場やインドネシア工場の注文が増える傾向にあると思います」

アメリカの自動車部品メーカーが、この企業の日本やインドネシアの工場で生産する金型に注文を振り替えるのではないかと考えているのです。しかし、トランプ大統領が全世界に一律の関税をかけた場合、反対に日本やインドネシアの工場に影響が及びます。その対策はあるのでしょうか?

ナゴヤダイス 山口真人社長:
「アメリカ以外の国への輸出、韓国・タイ・インド・インドネシアなどありますので、そちらのほうに力を入れていくという方向になってくるかと思います」

悲観的に受け止めるだけでなく、チャンスと捉えている企業もあるようです。

最終更新日:2025年1月22日 12:58
中京テレビのニュース