開港20周年を迎えるも…苦戦が続くセントレア 全国の国際空港の中で“ひとり負け”状態 国際線便数はピーク時の7割止まり 打開策は“巨大なみそ桶”!?
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国際線の苦戦でコロナからの回復に遅れ
2月17日はセントレアの誕生日。愛・地球博が開催された2005年に開港し、当時は世界中の人々でにぎわいました。
2018年には集客向上を狙って「フライトオブドリームズ」がオープン。その翌年には、LCC(格安航空会社)専用の第2ターミナルの共用を開始し、2019年度の旅客数は過去最高の1260万人に。
しかし、新型コロナのまん延で週486便あった国際線は一時ゼロに。免税店も営業を休止し、にぎわいはなくなりました。
コロナ禍が終わり、かつてのにぎわいを取り戻すために奮闘してきましたが、東京や大阪の空港は元に戻っているものの、セントレアの国際線の便数はピークの7割。回復が遅れています。
中部国際空港 犬塚力社長:
「インバウンドの方が来て最初に『これは何だ?』と見てもらって、インパクトをみそ桶で与えて、この地域にはそういうものがあるんだと知っていただきたい」
愛知県に集まるみそや日本酒など、日本の「発酵食」を世界にアピールするのが狙いです。
しかし、2月12日に行われた会見で記者から「発酵食文化の魅力発信だけで弱い」という厳しい指摘も。それについて犬塚社長は、このように説明しています。
中部国際空港 犬塚力社長:
「発酵食文化はひとつのきっかけかなと思っています。ある種の危機感から、できることはどんどんやっていく」
航空需要を取り戻すため「できることはどんどんやる」。その言葉通り、新たな事業が動き出していました。
にぎわいを取り戻すための新事業とは?
普段は空港で事務的な仕事をしているセントレアの社員たちが、愛知県常滑市の藍染め工房「紺屋のナミホ」を訪れました。ここで藍染めの体験をするといいます。
藍染め工房「紺屋のナミホ」では、職人の桑山さんが、藍の葉の栽培から染色まで一貫して行っています。藍を発酵させた染料に常滑市で作られた「日本酒」を入れるなど、材料はすべて地元産というこだわりです。
20周年を記念して、桑山さんとセントレアがコラボした手ぬぐいを制作。海に囲まれた空港から空に飛び立つ様子を、藍染めのグラデーションで表現しています。
中部国際空港総務グループ長 村井勝さん:
「せっかく地元で藍染めをされているので、空港でこれが購入できるとか、この工房におじゃますると買えるとか、今後も継続的につながるような、空港との間の象徴的な感じになればいいかなと思う」
世界から選ばれる空港になるために、社員自ら地域の特色を知り、その体験を元に魅力を世界に発信しようとしています。
他の国際空港は好調なのに…“ひとり負け”の要因は?
セントレアの外国人入国者数は、2019年12月は約14万7000人でしたが、2020年のコロナ禍で激減。その後は回復してきたものの、2024年12月時点では約14万2000人にとどまっています。
しかし、他の国際空港を見てみると、新千歳空港は約18万人から約23万人に増加。福岡空港も約15万人から倍増し約30万人に。羽田・成田などの空港もコロナ禍前を上回る数字です。
全国の国際空港の中で“ひとり負け”状態となっていますが、その理由についてセントレアは『最も多かった中国路線が再開していない』ことを挙げています。
コロナ禍前のピーク時には24都市を結んでいた中国便が、2025年2月時点では13都市に。中国の景気減速などが背景にあるといいます。
2月17日、国土交通省は老朽化する滑走路を補修するため代替滑走路の着工を許可しました。20周年を迎え、苦戦が続くセントレア。より多くの路線を誘致できるかが課題です。