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独自に品種改良した米で温暖化に対応 令和の米騒動で一躍注目 岐阜・中津川市

2025年2月25日 13:31
独自に品種改良した米で温暖化に対応 令和の米騒動で一躍注目 岐阜・中津川市
清水農産で生産されている米(鷹見直美さん提供)
昨年秋に市場に供給されるコメが不足する状況に陥った「令和の米騒動」以降、コメの小売価格が高止まりで推移する中、岐阜県中津川市の阿木地区で誕生した「温暖化に負けないコメ」が注目されています。

そのコメとは、集落名の「清水」から名付けられた「清水1号」「清水2号」。

集落を中心に集まった農家6人で構成する任意団体「清水農産」が、独自に品種改良を行い開発しました。
品種改良担当の鷹見直美さんによりますと、普及種のコシヒカリだと稲から穂が出る出穂の時期が、夏の暑い盛りの7月下旬から8月上旬までなのに対し、改良種は8月上旬以降だということです。
猛暑となる盛夏の時期を回避し気温の下がる時期での出穂が、高温障害になりにくく温暖化に負けない改良種のメリットだといいます。

清水1号は、宮城県原産の「ひとめぼれ」と山形のブランド米「はえぬき」を交配したもので、稈長が短いことが特徴で、収穫前に稲穂が倒れにくい耐性を備えています。一方、清水2号は、清水1号とコシヒカリを掛け合わせています。どちらもコシヒカリより米粒が大きく、輝いているように白いということです。食感もコシヒカリより弾力があり、噛みごたえのある口当たりといいます。

元々、新品種の開発は、兼業農家が多かった清水農産のメンバーらが定年退職を迎えようという時期に、収穫前に稲穂が倒れにくい種をつくろうという挑戦から始まりました。

「結果が出るのか?」「可能性は低い」との不安やためらいがメンバー間で先立つ半面、「くたびれもうけかもしれんが、面白そうだからやってみよう」と、改良種の育成に意欲的に取り組みました。交配から成果が出るまでに長い期間を要する中で、試行錯誤を繰り返しながら清水1号が誕生し、2019年には農林水産省の品種登録を受けるに至ります。
その後、16年に清水1号とコシヒカリを交配し、清水2号が24年に初出荷を迎えました。

清水農産が米を育成する栽培地は、標高600メートル地点。改良種は山間地帯の自然環境に適合した農産物であり、鷹見さんは「将来的に地域農業の維持にも貢献できるような品種に育てていきたい」と話しています。

最終更新日:2025年2月25日 13:31
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