危険な高速道路の逆走が後を絶ちません。8月末、東海環状道で軽トラックが逆走する事案が発生。逆走の瞬間をとらえたカメラ映像をもとに、逆走車に遭遇した場合や、自分が逆走してしまった場合の対処法を専門家に聞きました。

東海環状道を軽トラックが約33キロ逆走　発生からの一部始終

東海環状道を逆走する軽トラック

豊田勘八IC付近の定点カメラにも、猛スピードで逆走する軽トラックが映っています。

さらに、別のカメラでは、あわやの場面も。互いにハンドルをきり、間一髪、事故を免れました。

この軽トラックは、いったいなぜ高速道路を逆走していたのでしょうか。逆走に至る瞬間がカメラに記録されていました。

午後1時半ごろ、豊田東JCTに現れた先ほどの軽トラック。そのまま合流するかと思いきや、なぜかUターンしてしまい、その後、高速道路を逆走し続けました。

運転していたのは80代の男性だったということです。

こうした逆走は全国でも後を絶ちません。8月15日には、栃木県那須塩原市の東北道で軽自動車が逆走し、乗用車と正面衝突。それぞれの車の運転手が死亡し、乗用車に乗っていた9歳と7歳の子どもが重傷となりました。

その翌日にも、同じ東北道で、逆走してきた乗用車が走行中の大型バイクと衝突。31歳の男性が足に大けがをしました。

大惨事につながるケースも起きている高速道路の逆走事案。今回の軽トラックは、10件以上通報が相次ぎ、発生から約30分後、警察が運転手を確保。事故は起きることなく、運転手も無事だったということです。

警察が、道交法違反にあたる可能性があるとみて捜査を進めています。

逆走発生の原因を専門家が分析　逆走車に遭遇した時に取るべき行動とは？

約33キロも逆走し続けた

今回、逆走が起きたのは東海環状道。警察とNEXCO中日本によると、車は豊田勘八ICから豊田東JCTまでは正常に走行していましたが、豊田東JCTに来たところで突然Uターンして逆走。確保された土岐南多治見IC手前まで約33.3キロ、約27分も走り続けたということです。

引き返す瞬間の車の動きもカメラにとらえられていましたが、なぜ危険な逆走が起きたのでしょうか。発生直後にカメラ映像を確認した、NEXCO中日本・高速道路ドライブアドバイザーの林修平さんに話を聞きました。

NEXCO中日本　林修平さん：
「今回のケースではJCTにさしかかったときに本線内でUターンをしているので、おそらく案内標識を見て行き先を間違えていることに気づき、逆走してしまったのではないかと考えています」

また、これだけ長距離を走り続けていることや、時速100キロ近いスピードで走っていることから、運転手に逆走しているという意識はなく、自分は正しい方向に向かって走り続けていると思い込んでいたのではないかと分析します。

現状、高速道路の逆走は全国で年間約200回、2日に1回以上は起きています。もし高速道路で逆走車に遭遇してしまったらどのように対処すればいいのか、教えてもらいました。

NEXCO中日本　林修平さん：
「逆走車を目撃したり、情報板で『逆走車あり』の表示を見たら、まずは速度を落として車間距離をしっかり確保すること。そして、逆走車は（逆走車から見て左側通行となる）“追い越し車線”を走る傾向があることから、“走行車線”を走ると回避しやすくなります。あとは前の車の動きに注意しながら運転してください」

他にも、ハザードランプで後続車に危険があることを知らせたり、SAや料金所などで「逆走車を見た」とスタッフなどに伝える、同乗者がいる場合はドライバーに代わって110番通報をするなど、逆走車がいることを周囲に知らせることも大切です。林さんも「いち早く通報してもらうことで後続車両の安全につながるので、ぜひ協力していただきたい」と呼びかけます。

反対に、もし自分が逆走してしまった場合は、まず路肩や非常駐車帯など、安全な場所に停車することが重要です。ただし、路肩も必ずしも安全ではないので、前方の車に注意しながらガードレールの外側など、安全な場所に避難してから通報してほしいと、林さんは話します。

高速道路の逆走は大惨事に発展しかねません。逆走車を見かけても慌てずに落ち着いて行動すること。そして、万が一にも自分が逆走してしまわないために、事前にルート確認をしておくなど、しっかりと準備してから高速道路を利用しましょう。