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スゴ技炸裂!「白バイ」の全国大会が開催、女性白バイ隊員が“最後の挑戦”で得たもの

2023年10月27日 16:19
スゴ技炸裂!「白バイ」の全国大会が開催、女性白バイ隊員が“最後の挑戦”で得たもの

人馬一体ならぬ、“人車一体”。高度な白バイの頂点を決める全国大会が、今月7日~9日の3日間にわたり開催。全国トップクラスの白バイ隊員が集結する注目の大会に、誰よりも強い想いで挑む女性隊員がいた。

家族と仲間が応援!女性隊員が「白バイ」の頂点に挑む

高度な運転技術が求められることから、“スゴ腕”のライダーが揃う「白バイ」。そんな白バイ隊員の頂点を決める全国大会「全国白バイ安全運転競技大会」が、茨城県ひたちなか市にて開催された。今大会で求められるのは、人馬一体ならぬ、“人車一体”。大会では、災害現場を想定した地盤のゆるいコースや横幅30㎝の一本橋を走行したり、多くの障害物を地面に足を着けずに乗り越えていくなど様々な競技を実施。

観客からは、「(白バイ隊員たちの)勢いがすごかった!」、「機械と人が一体になっているのがすごい」など、訓練の成果を発揮する隊員たちの姿を賞賛する声が多く寄せられた。そんな本大会に、誰よりも強い想いで挑む女性白バイ隊員がいた。

白バイ隊員4年目、愛知県警 第一交通機動隊・長澤夢乃巡査長だ。全国大会の出場は“3回まで”と決まっていることから、今回が“最後の挑戦”となる。2021年は種目別8位、2022年は個人総合10位と、入賞まであと一歩の悔しい結果が続いてきた夢乃さん。300㎏の白バイを自由自在に操る運転技術は、全国トップクラスと言われている。

「今まで身に付けてきたものを出せれば、勝てると思う」と、大会への強い決意を滲ませる夢乃さん。彼女をよく知る隊員たち曰く「ストイックで負けず嫌い」な性格だ。目指すは“日本一”。最後の挑戦となる今大会に寄せる想いは誰よりも強い。

そんな彼女を優しく見守るのが、姉・華乃さんだ。彼女もまた、白バイ隊員として勤務。現在は引退しているが、「全国白バイ安全運転競技大会」では、個人総合3位に入賞した実力者だ。華乃さんを含め、4人兄弟の夢乃さん。実は兄弟と両親含め、家族全員の職業が「警察官」という警察一家だ。夢乃さんと華乃さんは、白バイ隊員だった母親の姿に憧れて白バイ隊員を志願。2021年の名古屋ウィメンズマラソンでは、姉妹で先導車を務めた経歴をもつ。

「自分は追いかける立場でバチバチだった」と、大会では華乃さんをライバル視していた夢乃さん。“最強のライバル”だった姉は、今大会では夢乃さんにとって“最強の味方”となった。大会に向けた練習後、華乃さんから夢乃さんへ手紙が手渡された。妹の成功を祈る姉の想いがしたためられた手紙は、「ゆめが主役!ゆめが日本一になる!!!がんばれ!」というエールで締めくくられていた。

最後の挑戦に挑む夢乃さん。「“恩返し”できるような走りをしたい」と、家族と仲間への感謝を胸に大会へと向かった。

「バランス走行」は上位入賞を狙える好記録

家族や仲間の応援を背にむかえた大会当日。夢乃さんが出場する競技は2つ。多くの観客が見守るなか、夢乃さんが出場する1つ目の競技「バランス走行」がスタートした。バランス走行は、「走る」・「止まる」・「曲がる」の基本的な運転技能を競う競技で、並べられたマーカーを踏むなどのミスが減点の対象となる。「愛知ファイトー!!」と仲間からの声援が飛び交うなか、順調に走行する夢乃さん。ノーミスとはいかなかったが、大きな減点はわずか一カ所におさえ、48人中9位という結果となった。2つ目の種目で好記録を出せば、個人総合5位入賞を狙える順位。1つ目の競技を終えた夢乃さんは、「悔しいけれど、まだ終わりじゃない。入賞を狙える位置にはいるので、しっかり自分の走りをして巻き返したい」と次の種目への意気込みを語った。

まさかの悪天候、応援を背に挑む“ラストラン”

あいにくの悪天候で幕を開けた、2つ目の種目「傾斜走行競技」。曲線のコースに並べられたパイロンの間を縫うように走行し、少ないミスでゴールまで到達するタイムを競う競技だ。雨の影響で路面が滑りやすくなるなど、コンディションは良いとはいえない状態。他の演目でも、”自分の走り”ができない隊員たちが続出した。

そんななか、いよいよ夢乃さんの“ラストレース”がスタート。パイロンの間を滑らかに走行し、出だしはかなり好調だ。しかし、中間地点に差し掛かったとき、まさかの転倒。転倒した隊員はその地点で失格、それ以上は走行できないことがルールだ。スタッフと共に、倒れた白バイを立て直す夢乃さん。雨が降りしきるなか、夢乃さんのラストレースは惜しくも中間地点で幕を閉じた。

競技終了後、涙する夢乃さんにかけよる一人の女性がいた。元白バイ隊員の、夢乃さんのお母さんだ。何も言わず、そっと娘を抱きしめる母。満足のいく結果が残せなくとも、悪天候のなか堂々とレースに挑んだ夢乃さんの勇姿は、彼女を応援してきた家族と仲間への十分な“恩返し”となった。

転倒の影響で、夢乃さんの順位は個人総合35位。しかし、同じチームの杉木巡査長が「傾斜走行競技」が3位入賞、男子は団体5位を獲得するなど、大健闘した愛知県警。

夢乃さんをはじめ、全国トップクラスの走りで今後も街の安全を守り続けてくれることだろう。

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