誰も姿を見たことがない…“忍者グマ” 牛を次々と襲う 北海道標茶町
北海道標茶町で、誰も姿を見たことがない通称“忍者グマ”に牧場の牛が次々と襲われています。
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暗闇の林に見えるのは黒い陰。前足を伸ばした大きなクマです。3年ほど前から北海道標茶町で牛を襲っているクマで、無人カメラに映ることはあっても人前に姿を現したことはありません。
北海道猟友会 標茶支部 後藤勲支部長
「忍者グマ、忍者グマと言うけど至難の業です。獲るのは」
このクマは、誰も見たことがないため「忍者グマ」と呼ばれています。オソベツ地区で見つかり、前足の幅が18センチあることから「OSO18」と名付けられています。
体長約2メートル、体重は300キロほどで、14歳前後のオスグマとみられています。
標茶町では先月、この「OSO18」によるとみられる被害が4件相次いでいて、合わせて6頭の牛が襲われました。
牧場を管理する業者の従業員
「(牛は)腸は破られて意識はないし、腹はへこんで(食べられてて)ない状態。肩は爪で叩かれて、傷ついていた牛もいた。間違いなくクマでしょうね」
牛はすでに息絶えていて、内臓が食べられていました。
背中には太い爪でつけられた大きな引っかき傷があり、周辺には大きなクマの足跡が残されていました。今年は襲った牛を再び食べるために、1週間後に戻ってきた事例もありました。
被害にあった牧場には、クマを警戒するため鳴き声を発し、動くオオカミを模した装置が設置されていました。被害を防ぐため、地元の猟友会などが捕獲を試みていますが、「OSO18」は非常に警戒心が強く、なかなか姿を見せません。
後藤勲支部長
「日の出から日没まで警戒しているけど、一向に姿を現さない。牛舎のすぐそばで牛が襲われたのは初めてなんですよね。それだけ民家に近づいている」
足跡の近くにあるフンや体毛などをDNA鑑定し、その行動が少しずつ、わかってきました。
「OSO18」は2月ごろから行動を開始し、一度北上した後、また南に戻ってきたとみられています。
南知床・ヒグマ情報センター 藤本靖理事長
「人をすごく嫌っているんですね」
一日も早い捕獲が望まれています。