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線状降水帯“海面水温の前線が大きく影響”メカニズム解明と予測精度向上へ

2022年12月28日 0:51
線状降水帯“海面水温の前線が大きく影響”メカニズム解明と予測精度向上へ

毎年のように大雨災害をもたらすものの、その予測が難しい線状降水帯について、気象庁と大学などの研究機関が連携して研究を行った結果、海面水温の前線が大雨をもたらす積乱雲の発生に大きく影響することがわかりました。

気象庁と大学などが連携して今年行った研究によりますと、海面水温の前線によって下層の大気温度に大きな変化が生じることで、大気の下層で風の収束が強まり、大雨をもたらす積乱雲の発生に大きく影響する可能性がわかってきたということです。

一方、7月に高知県で発生した線状降水帯について、スーパーコンピューター「富岳」を使って水平解像度1キロと高解像度でシミュレーションを行った結果、実際の降水量と近い数値を予測することができたといいます。

ただし、雨が降った地域がずれたり、実際に降った雨量よりも過大に予測した地域もあり、今後の課題が浮き彫りになりました。

「線状降水帯予測精度向上ワーキンググループ」の主査で、東京大学・大気海洋研究所の佐藤正樹教授は、富岳によって予測精度の向上が見込まれると評価した上で、さらなる技術開発を進め、今後も研究機関と連携しながら、線状降水帯の予測精度向上を目指していくとしています。

気象庁は線状降水帯のメカニズム解明と予測精度の向上を目指して、今年6月から、全国にある大学など14の機関と連携して研究と技術開発に取り組んでいます。