【日本初開催】デフリンピックから情報のバリアフリーを考える【#きっかけ解説】
「デフリンピック」のデフは英語で「きこえない」という意味です。耳が聞こえない、聞こえにくいといった聴覚障害があるデフアスリートを対象とした国際スポーツ大会で、今年11月、日本で初めて開催されます。
デフリンピックは、4年に1度、夏と冬に開かれ、今年は、第一回大会から100周年です。日本で初めてのデフリンピックで、聞こえる人と聞こえない人のコミュニケーションを考えるきっかけになればと思っています。
デフリンピックは今年11月から東京をメイン会場として開催。参加国は70~80の国と地域、出場選手は3000人の見込みで、21の競技があります。
ーデフリンピックはパラリンピックとは何が違うのでしょうか?
パラリンピックは第2次世界大戦で主に脊髄を損傷した兵士たちのリハビリの一環として1948年に始まり、のちに国際大会となりました。こういった経緯などから、聴覚障害の出場枠はありません。
一方、1924年に始まったデフリンピックはパラリンピックよりも歴史が長く、聴覚障害がある人の大会でありパラリンピックとは別の大会として存在していました。
デフリンピックに出場できるのは「補聴器を外した時に55デシベル未満の音が聞こえない人」とされています。これは、人と会話しているときの話す声が聞こえないレベルだといいます。
ーデフリンピックならではのルールはあるのでしょうか?
ルールはオリンピックとほぼ同じですが、様々な工夫がされています。たとえば、競技をスタートする時は音の代わりに、光るランプや旗を使うなどして視覚的にわかるようにされています。また、全日本ろうあ連盟によりますと、耳が聞こえないことでからだのバランスが取りづらいということがあり、そういった中で、デフアスリートの皆さんは日々、トレーニングを重ねているそうです。
ー大会期間中は聞こえる人と聞こえない人がふれあう場面も多くあると思いますが、誰もが手話をできるわけではないですよね。
そこで、「情報のバリアフリー」というのが進められているんです。「情報のバリアフリー」とは耳が聞こえないなどの障害がある・ないにかかわらずすべての人が必要な情報を得られる環境づくりをすることです。
これは音声を「文字にしてみえる化」するディスプレイです。タブレットで入力した文字も表示されるので会話ができます。
ータイムラグが少なくてスムーズにコミュニケーションがとれますね。
精度も高くて、多言語にも対応しているので外国の人とも交流が可能です。東京都によりますと、デフリンピックでは、競技会場の受付などに設置して使われる予定です。
また、東京メトロの駅では、電車の運行情報などの駅構内のアナウンスを多言語で文字表示できる機能の導入が進められています。スマートフォンで専用の二次元コードを読み取ると、アナウンスが文字化されて自分のスマートフォンに映るというものです。
ーこのニュースで、内藤記者が一番伝えたいことは何でしょうか?
「障害がある人とない人のコミュニケーションを考える」ということです。
聞こえる、聞こえないにかかわらずジェスチャーや筆談、デジタル技術の活用などコミュニケーションの取り方を工夫したり、応援の方法を考えたりすることでデフリンピックが互いの理解を進める良い機会になればと考えています。【#きっかけ解説】