農業被害が拡大 外来種ハクチョウが稲食べる 追い出し作戦は…
外来種のハクチョウによる農業被害が深刻化しています。水田の稲が食べられてしまい、被害は拡大しています。自治体が対策に乗り出しました。
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15日、千葉県柏市と我孫子市などにまたがる手賀沼の近くで見つけたのはコブハクチョウの親子です。カメラが近づいても警戒する様子はありませんでした。
記者
「子どもたちが草を食べています」
地元の人に見守られながら、5羽のヒナが親と一緒に散歩していました。
その名の通り、顔に大きなコブを持つコブハクチョウ。人と比べてもかなり大きいことが分かります。生息地域は全国各地にわたりますが、実は外来種です。
手賀沼周辺では、いつからか大量に繁殖し、コブハクチョウの“たまり場”のような場所ができる事態になっています。この“たまり場”では目視しただけでも50羽以上のコブハクチョウが確認できました。
外来種ゆえに懸念されるのは、生態系への影響です。
さらに深刻なのが農業被害です。
柏市農政課 佐藤健太主査
「植えたばかりの稲を食べてしまうことが多いので」
コブハクチョウが稲を食い荒らしてしまうといいます。実際に14日も被害があったということです。
千葉県によりますと、2020年度の被害額はおよそ1245万円で、前年の1.5倍ほどに増えています。
“ある対策”に乗り出した農家を取材しました。
Q.ネットが張られてる?
農家 成毛紀夫さん
「それはハクチョウが入らないように」
田んぼの周りにネットを設置。
農家 成毛紀夫さん
「これ田んぼ、元田んぼ」
さらに、コブハクチョウ対策で田んぼを畑に変えたといいます。
農家 成毛紀夫さん
「我慢比べじゃないけど負けるよね、ハクチョウには負ける。ハクチョウのために稲作ってるわけじゃないもん」
自治体も黙っているわけにはいきません。
手賀沼の南側、柏市では、市が“追い出し作戦”を実施しました。
柏市農政課 佐藤健太主査
「田んぼからハクチョウを追い出すロープですね」
稲を傷つけないように、ロープを使って追い出すといいます。
ただ、田んぼに入ってしまうコブハクチョウはあとを絶たず、取材中にも、田んぼでくつろぐコブハクチョウを発見しました。
「あ、ハクチョウだ」
「ハクチョウいます?ほんとだ」
早速、追い出し作戦にとりかかります。
柏市農政課 佐藤健太主査
「奥の道路行ってもらって、ひも張りながら歩いて行くので」
担当者があぜ道を歩いて行くと、逃げるように飛び去っていきました。
一方、北側の我孫子市。
記者
「沼から出られないように柵が張られています」
我孫子市では、コブハクチョウが田んぼに入れないようにネットを設置しました。
Q.そこにもいますけど、結構見ますか?
地元住民
「見ますね。一時よりは(コブハクチョウが)少なくなった気がします。早く農家に迷惑をかけないようにしてもらいたい」
千葉県が主体となり、柏市や我孫子市などと対策を行っていますが、厳しい状況が続いています。