リクルート社員「サクラの皆さんに救われました」――学生のフリして質問 コロナ禍の就活セミナーで…ナゼ?
就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートが5日、大学生向けオンラインセミナーで、社員が学生のふりをして質問するサクラ行為があったとして謝罪しました。社内のチャットではサクラを推奨するような書き込みも。背景には何があったのでしょうか。
5日、東京・池袋。就活生からは不安の声が上がりました。
大学4年の就活生(21)
「だましてるってわけじゃないですけど、あまり良い印象はないですね」
就活生(24)
「実際それをされても分からないし、怖いなっていうのはありますね」
就活情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートは5日、就活生に対して不誠実な行為があったとして謝罪しました。大学生向けの就活セミナーで、社員が学生のふりをして質問する、いわゆるサクラ行為をしていたことを明らかにしました。
リクルートによると、サクラ行為があったのは一昨年4月から去年10月までの、コロナ禍に開催した大学生向けのオンラインセミナーでした。
質疑応答の時に「オンラインのイベントは出入り自由ですか?」「イベントには私服で参加しても良いですか?」などと、社員が学生のふりをして質問を書き込みました。
リクルートのチーム内で事前にサクラ役を決めて質問させたり、「講師」と「質問する学生」の1人2役をする人もいたといいます。社員同士で「サクラ」と表現し、少なくとも20件確認されたと明らかにしました。
さらに、社内のチャットで一部の上司が「質問はまずサクラ仕込んでね」とサクラを推奨するような書き込みをしたり、社員が「サクラのみなさんに救われました」と投稿したりといったやり取りもあったといいます。
サクラ行為の理由についてリクルート担当者は「セミナーがオンラインでの開催となり、学生の皆さまが質問しづらい雰囲気だったため、質問しやすい雰囲気作りのきっかけとして、過去の代表的な質問を投げかけていた」と説明しました。
その上で、学生のふりをしたこと、「サクラ」などの不適切な表現をしたことについて謝罪しました。
就活生に受け止めを聞くと、最初に質問してくれることには理解できる、という声もありました。
大学4年生(21)は「(質問が)1番目だと厳しいところがある。『これ質問しても大丈夫なのかな』って不安がちょっとある」。別の人が最初に質問すると、その後に質問しやすいかどうか聞くと、「自分的にはあります」と言いました。
一方で別の大学4年生(21)は、「そこまで用意周到にする必要はないのかなとも思うし…。どの場面でいるか分からないので。(会場に)いるんじゃないかなと思っちゃいますね」と疑問や心配を口にしました。
企業のリスク管理を行う専門家は、企業への信頼問題に関わる行為だと指摘します。株式会社コンプライアンス・コミュニケーションズの藤井裕之代表取締役に聞きました。
「(リクルートは)大きな企業で非常に有名なところです。就活生に寄り添って、100%就活生の味方として振る舞ってくれるだろうと、みんなが全面的に信頼している中で行われている。そういった信頼に応え切れていないのが一番の問題点なのだろう(と思います)」
「『よくある質問に対しての回答を先にお話ししますね』と断って、いろんなお話を先にしてもらうことで、こういったサクラのようなことをしなくても、皆さんが質問しやすいような雰囲気を作る方法もあったのでは」
(6月5日『news zero』より)