校庭に避難するだけじゃない! より新しく、より進化し続けている超実践的な“シン避難訓練”とは?
小中学校などで行われる避難訓練といえば、校内放送が流れて校庭へ避難するという訓練を思い浮かべませんか? そんな訓練に疑問を持ち、より実践的な訓練を提唱しているのが地震学などを専門としている慶応義塾大学・環境情報学部の大木聖子准教授です。大木准教授が提唱する新しい避難訓練とは? 中野謙吾アナが取材しました。
今回、中野アナが伺ったのは、埼玉県川越市立霞ケ関西小学校。慶応義塾大学の大木聖子准教授は、この学校で行われている避難訓練を監修しています。
中野謙吾アナ
「訓練の形を変えていこう、進化させていこうって思われたきっかけというのは」
慶応義塾大学 環境情報学部大木聖子准教授
「余震を伴わない大地震というのは、地震学的にはあり得ないんですよね。それを思えば、ほとんどの学校で再現していない」
川越市立霞ケ関西小学校 原田正則校長
「昨年4月に初めてこちらの学校で(大木准教授監修の)避難訓練を行ったが、感銘を受けたというか適切な訓練だなということを感じました」
一体、どんな訓練なのでしょうか? まずは、訓練用の緊急地震速報がが教室に響きます。
校内アナウンス
「訓練、訓練。緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」
中野謙吾アナ
「緊急地震速報が鳴ってから15秒ほどなんですけれども、全員の児童が机の下に身を隠しています」
こどもたちは、先生の指示を待つことなく机の下に潜り自分の身を守ります。そして、速報の音が止まるとすぐに椅子に敷いてある防災頭巾を取り出し被ります。
ここから避難訓練はより実践的になっていきます。担任は、事前に配られていた封筒を取り出し、中身を確認します。その内容は、ケガ人も含めた訓練を行うために、被災した児童の被害状況を書いたメモでした。担任はこのメモを開封するまで内容を知らされていません。そして、書かれている症状をもとに児童を指名し、けが人役を演じてもらいます。
これは、教師の判断力と対応力を高めるための訓練なんです。ケガ人の処置が終わると、クラスの状況を災害本部に伝達します。
ほっとしたのもつかの間、再び大きな揺れが発生したアナウンスが…
校内アナウンス
「訓練、訓練。緊急地震速報です。強い揺れに警戒してください」
中野謙吾アナ
「また、緊急地震速報。2度目の緊急地震速報」
児童たちは再び机の下に潜り、身を守ります。これに対し担任は、けがで動けない児童の元に駆け寄り頭を守ります。この動きも実際の災害を意識しているからなんです。
一方、校長先生は各クラスの報告を受けて状況を確認していきます。そして、全学年の無事を確認したところで約20分の避難訓練が終了しました。訓練終了後、児童たちはすぐにパソコンを開き、訓練を振り返り感想を打ち込んでいきます。
訓練に参加した児童
「緊張感とか本当に起きてしまった時でも、しっかりと対応できるように訓練は大切だと思います」
訓練に参加した児童
「本格的に避難訓練をやっていると本当に災害が起きた時にも対応できると思う」
大木准教授が訓練に託した思いとは?
慶応義塾大学 環境情報学部大木聖子准教授
「この子たちが大人になっていったら訓練が変わっていくかもしれない。そうすると町が変わっていく、国が変わっていく、そういった大きな可能性があるんじゃないかなと思います」