社員らが幹部に一斉に“挨拶” ビッグモーター「環境整備点検」 “店舗前の街路樹問題”川崎市の店が“伐採”認める
中古車販売大手・ビッグモーターの幹部陣が店舗を視察する「環境整備点検」の様子とみられる映像を入手しました。また、“店の前の街路樹が不自然に枯れている問題”で、神奈川県川崎市の店舗では、店側が木を伐採したことを認めたことが分かりました。
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ビッグモーターのある店舗で2年前に撮影されたという映像。撮影していた当時の社員が何かに気づくと、少し前へ歩み出て、ほかの社員らと一斉に大声で挨拶を始めました。
店に入ってきたスーツ姿の人物は、ビッグモーター・兼重宏行前社長の長男、宏一前副社長です。社員の挨拶に小さくうなずく様子もみられました。
宏一前副社長は、不正請求問題がおきた原因の1つとされる「従業員の頻繁な降格処分」を判断した人物とも指摘されています。
映像は幹部陣が店舗を視察する「環境整備点検」の様子とみられていて、「売り上げ」や「清掃状況」、「店の前に雑草がはえていないか」などを確認され、細かく点数がつけられるといいます。映像が撮影された当時、その店舗はほぼ0点という結果になり、店長は別店舗に異動になったといいます。
別の店舗で働いていた元店長も――
ビッグモーター元店長
「環境整備点検はやっぱり…イヤというか…おっくうでしたね」
1年に8回ほどあったという「環境整備点検」。低い点数をつけられて“降格処分”にならないよう、常に恐れていたといいます。
ビッグモーター元店長
「1週間ほど前から準備して、前日なんか遅いと夜中の3時くらいまで清掃活動は(やってた)。店の数字の精査、副社長なりに説明して、納得する受け答えができないとまずそこで降格。副社長は全部知りたがるようなタイプだったので、会社の数字のために気に入らない人はバサバサ捨てて経営していた」
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元店長によると、「環境整備点検」では「店の前に雑草がない状態を保つこと」が重要項目の1つだったといいます。その影響が疑われると指摘されているのが“店の前の街路樹が不自然に枯れている問題”です。
この問題で新たな動きがありました。
神奈川県川崎市にあるビッグモーター川崎店の店舗前は木が1本はえていますが、ほかには雑草もほとんどはえていない状態です。この店舗前の街路樹について、市がビッグモーター本社に聞き取り調査を行った結果、オオムラサキツツジ6株を自社で伐採したと認めたことがわかりました。
市によると去年10月、ビッグモーター側から「支障になるので店舗前の街路樹を切りそろえてほしい」という要望があったといいます。
市が街路樹を調査したところ、歩道や車道にはみ出ておらず「切る必要はない」と判断しました。その上で「安全な範囲の中で先をつまむ程度であればせん定してもよい」とビッグモーター側に説明していたといいます。
市は、1日の会見でビッグモーター側の伐採について――
川崎市 福田紀彦市長
「正直、信じられないですよね、街路樹を勝手に切っちゃうって。倫理観が全くないことに驚きましたし、腹立たしい限り。市民の大切な財産を毀損させたことは大きいと思う」
市は今後、ビッグモーター側に文書で説明を求めるほか、被害届の提出や損害賠償の請求も検討しています。