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冬の日本に低温・大雪をもたらした異常気象の要因「ラニーニャ現象」が終息 気象庁発表

2023年3月10日 21:51
冬の日本に低温・大雪をもたらした異常気象の要因「ラニーニャ現象」が終息 気象庁発表

世界の気候に影響が出るとされる「ラニーニャ現象」。発生すると、冬は寒く、夏は暑くなる傾向があります。10日、気象庁は2021年秋から続いていたラニーニャ現象が「終息したとみられる」と発表しました。

■「ラニーニャ現象」とは

日付変更線付近から南米ペルー沖にかけての太平洋赤道域の海面水温が平年よりも低くなる現象で、数年おきに発生しています。逆に海面水温が平年よりも高くなる現象が「エルニーニョ現象」です。

「ラニーニャ現象」や「エルニーニョ現象」が発生すると地球規模で大気の流れが変化して、世界の気候に影響を及ぼすことが知られていて、各地で記録的な猛暑や大雨など異常気象になることがあります。

■日本の気象への影響

日本付近では「ラニーニャ現象」がおきると、太平洋高気圧が強まり、暑い夏に、逆に冬は厳しい寒さや大雪になる傾向があります。一方で「エルニーニョ現象」がおきると夏は冷夏になることが多く、逆に冬は暖冬になることが分かっています。

気象庁のまとめによりますと、1949年以降、「エルニーニョ現象」は16回「ラニーニャ現象」は17回発生しています。

この冬、日本では日本海側を中心に記録的な大雪となり、厳しい寒さとなりましたが、これは2021年秋から続いていた「ラニーニャ現象」の影響とみられます。

■「ラニーニャ現象」終息

気象庁が10日に発表した、「エルニーニョ監視速報」によりますとエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差はマイナス0.1度で、ほぼ基準値に近い値でした。

大気の状態には、まだ「ラニーニャ現象」の特徴が見られるものの、海洋の状態は、「ラニーニャ現象」の特徴が弱まってきていて、2021年秋から続いていた「ラニーニャ現象」は先月終息したとみられるということです。

気象庁の担当者によると、今回のラニーニャ現象は2021年の秋に発生して、今年の冬まで、6シーズン継続しましたが、その前にも2020年の夏から2021年の春まで「ラニーニャ現象」がおきていました。

ほぼ3年連続で「ラニーニャ現象」が続いたのは、初めてのことだということですが原因は分かっていません。

■今年の夏は暑くなる?

監視海域の海面水温は、今年の春は平常の状態が続く可能性が高いという予想です。夏は「エルニーニョ現象」が発生する可能性と、平常の状態が続く可能性が同程度の50%で気象庁は、現時点では、今年の夏の気温に大きな影響はないと予想しています。

ただ、地球温暖化の影響と、終息したものの「ラニーニャ現象」の影響がまだ残るため、今年の6月から8月の本州付近の気温は、「平年並みか高い」予想です。