南海トラフ巨大地震「特段の変化は観測されず」 台湾の大地震の影響はなし
気象庁は南海トラフでの巨大地震発生の可能性を評価する定例の検討会を開き、「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。また3日に発生した台湾の大地震については南海トラフに与える影響は無いとしています。
気象庁は今後30年以内の発生確率が70%から80%とされる南海トラフ巨大地震について、専門家による定例の評価検討会を開き、想定震源域でおきた地震や観測データの分析をおこないました。
気象庁によりますと、先月1日から先月31日までの期間に南海トラフ巨大地震の想定震源域とその周辺ではマグニチュード3.5以上の地震が5回発生したということです。
このうち、最も規模の大きかった地震は、先月2日、宮崎県北部平野部を震源とするマグニチュード4.3の地震で、宮崎県延岡市などで最大震度4の揺れを観測しました。
これらの地震はいずれも、フィリピン海プレートの内部や地殻内で発生した地震で、南海トラフ巨大地震で想定されるプレート境界の地震とはメカニズムが異なるほか、地震の規模が小さいことから、検討会は、南海トラフ巨大地震に大きな影響はないとして「特に目立った地震活動ではない」と評価しました。
また、静岡県御前崎などで長期的に観測されている地盤の沈降はフィリピン海プレートの沈み込みに伴うものでその傾向に大きな変化はないとしています。
検討会は、こうした観測結果を総合的に判断し南海トラフ周辺で「特段の変化は観測されなかった」とする見解をまとめました。
一方、今月3日に大地震が発生した台湾は、南海トラフ巨大地震を引きおこすフィリピン海プレートの西端に位置していますが、南海トラフ巨大地震の想定震源域まで距離が離れていることや、研究機関の観測データに変化がないことから、台湾の大地震が南海トラフ巨大地震へ与える影響はないという見方を示しました。
評価検討会の会長で東京大学の平田直名誉教授は、プレートの固着状態に大きな変化はないものの、巨大地震がおきる可能性が高いことに変わりはないため、地震と津波への十分な備えを続けてほしいと話しています。